フリーゲージトレインの走行試験の結果について審議した技術評価委員会=東京・霞が関の国土交通省

■知事、財政理由に否定的

 フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の開発が難航し、2025年度の全面開業もずれ込む見通しとなった九州新幹線長崎ルート。佐賀県の山口祥義知事は14日、FGT導入の遅れを慎重に受け止め、巨額の財政負担がある「フル規格」の議論には否定的な考えを強調したが、沿線自治体では待望論が勢いを増した。

 「なかなか技術開発が難しいということ。国の議論を注視したい」。県内のイベント後に取材に応じた山口知事。今後の姿勢について、昨年3月の6者合意を基本にした上で「われわれとして何かを言い出すというより、取り巻く環境の中で最善の主張をしていく」と語り、22年度暫定開業の準備に全力を注ぐ姿勢を見せた。フル規格を求める声が膨らむ可能性を問われると、約800億円にも上る財政負担があることを理由に「再三申し上げているが議論する環境にない」と従来の考えを繰り返し、予防線を張った。

 佐賀県議会の超党派の議員33人で構成する「九州新幹線西九州ルート整備促進議員連盟」の石井秀夫会長(自民党)は、技術開発に多額な費用を投じながら、厳しい現状にあることに触れ「このままFGTの開発を続けるのはどうか。長い将来を見据えれば別の道を探るべき時にきていると感じる」との見解を示した。

 技術開発を疑問視していた社民党の徳光清孝県議は「改めて協議が必要だ。JRも維持管理費などの見通しが立たず、導入を断念するのではないか」。共産党の武藤明美議員は「無理に進めている新幹線自体を断念し、長崎線の充実を進めるべき」と持論を述べた。

 沿線自治体ではフル規格への期待が膨らんだ。武雄市の小松政市長は「暫定開業は守ってもらいたいし、リレー方式の固定化は好ましくない」とした上で、「新幹線が持つ定時性、高速性、安全性と、山陽新幹線直接乗り入れの全てをクリアできるのはフル規格。地元負担の見直しを前提に実現を期待する」と求めた。

 新駅ができる嬉野市の谷口太一郎市長も「フル規格を導入して、大阪への直通乗り入れへと発想を切り替えてもらいたい思いがより強まった」。県や国への要望を強めたい考えで「早い時期に決起大会を開き、市民の総意としてアピールしたい」と方針を語った。(取材班)

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