「エコロジー」という言葉は生態学と訳され、環境保護の意味もある。この語を、日本で早くに使ったのが在野の生物学者で民俗学者の南方熊楠(みなかたくまぐす)だ。この18日で生誕150年を迎えた◆南方は研究していた粘菌について、郷里の和歌山を訪問された昭和天皇に進講した。国が進める神社合祀(ごうし)への反対運動に取り組んだことも特筆される◆神社の消滅は「鎮守の森」も切り払うことになり、そこに棲(す)む貴重な生き物たちも死に絶える。自然の風景・生態系は複雑に、絶妙なバランスで成り立っており、一時の利益のために壊してはならないと訴えた(唐澤太輔著『南方熊楠』)◆「さが緑の基金」は1993年度の調査で、県内神社の鎮守の森には名木・古木、天然記念物の樹木が多く、佐賀では希少な植物も含まれていることを突き止めた。県は今も実態は変わらないとみる。そんな森を守ろうと、伊万里市二里町で地元住民が会を結成し、神原(かみのはら)八幡宮の森を再生する取り組みが先日、佐賀新聞で紹介されていた◆荒廃した森に手を入れ、子どもたちとともに苗木の植栽もした。昔、鎮守の森は子どもたちのいい遊び場でもあった。秘密基地を作ったり、木登りに懸命になるわんぱくな子もいたろう。そして地元の人々の心のよりどころでもある。「次世代へつなぐ」願いが活動の原動力となる。(章)

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