JRのローカル線廃線を描いた映画に浅田次郎さん原作の『鉄道員(ぽっぽや)』がある。雪に包まれた大地で、旗を振りながらワンマン車両を誘導する駅長を高倉健さんが演じる。舞台は国鉄分割民営化からほぼ10年後の北海道。少ない乗客一人一人に声をかける場面が印象的だ◆民営化は4月で30年を迎える。ローカル線を取り巻く環境はさらに厳しくなっており、JR北海道は全路線の半分は維持していくのが困難だと国や自治体に支援を求めている◆北海道や四国といった「島」と本州のJR3社の経営格差は大きい。人口差を考えれば誰もが分かっていたはずだが、30年でさらに広がった感がある。同じ「島」でもJR九州は駅ビルや不動産など事業の多角化が成功したが、過疎化は人ごとでない。合理化で無人駅は半数を超える◆大物閣僚も疑問を感じているようだ。麻生副総理は今国会で「経営が分かっていない人がやった」と当時の行政改革の目玉だった分割化を批判し、JR再編の持論を示した。そういう議論を始める時かもしれない◆映画は民営化が変えた鉄道員の姿も描く。健さんが“ぽっぽや”として人生を終え、小林稔侍さん演じる同僚が系列のリゾートホテルに再就職する。2人は蒸気機関車時代からの同志だった。器用も不器用もなく、変わる時代を生きている。(日)

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