自衛隊が導入する新型輸送機オスプレイを佐賀空港に配備する計画をめぐり、防衛省の若宮健嗣副大臣が、山口祥義佐賀県知事らと会談した。防衛省は自らの計画を実現させるために「不退転の決意」で進める構えだが、そこに県民と真摯(しんし)に向き合おうとする姿勢はあるだろうか。

 沖縄で起きた米軍オスプレイの大破事故について、若宮副大臣は搭乗員の練度不足や、風や乱気流に対する対応が十分ではなかった、などを挙げて「機体の安全性に問題はない」と結論づけた。

 本当だろうか。

 米軍がオスプレイを導入したのは2000年代の初めからであり、すでに十分な実績がある。だからこそ、自衛隊も機種選定に当たってオスプレイに決めたのではなかったか。今さら飛行日程の組み方が適切ではなく搭乗員の練度が足りなかった、などと説明されても納得しがたい。

 しかも、あの事故を防衛省は「墜落」ではなく「不時着」なのだと説明したが、機体はばらばらになり、回収された部品は4月末の時点で1万7千個にものぼる。それでもなお、不時着と言い張るのは無理がないか。事故を矮小化し、現実を直視する姿勢に欠けているのではないか。

 オスプレイの事故率についても、防衛省は10万飛行時間当たり「2・62件」と数字を上げて、海兵隊全体の事故率(2・63件)を下回っていると説明した。これだけ聞かされれば、あたかも安全性が確保されているかのように見えるが、直近の5年間に限れば、その事故率は3・44件に跳ね上がる。

 14年以降、ペルシャ湾、米ハワイ、カリフォルニアで深刻な事故が相次いでいるからだ。運用を重ねれば下がるはずの事故率がなぜ逆に上昇しているのか。機体の構造そのものに問題はないのか。その答えもないまま、事故率の数字だけ取り繕うようでは困る。

 これまでに防衛省は地権者向け説明会を県内4カ所で開いたが、いずれも「反対」の声が大半だった。これに対して防衛省側は「不退転の決意で進めている」と述べたが、強い違和感がある。

 佐賀空港をめぐっては、建設当時から自衛隊による基地化への懸念が強かった。その懸念を払しょくするため、空港を設置する佐賀県と、予定地の地権者である地元漁協が結んだ「公害防止協定」の覚書付属資料に、自衛隊と共用しない考えがはっきりと記されることになった経緯がある。

 受け入れるかどうかは、あくまでも地元に委ねられているはずだ。「不退転の決意」という言葉には、地元の意思を尊重するという姿勢がみじんも感じられない。

 同じ国策では、国営諫早湾干拓事業(長崎県)に関する国の対応も不誠実きわまりない。開門調査を命じる確定判決の実行を引き延ばした末、司法に解決を委ねたのかと思えば、一転して「開門しない」という。そこに漁業者に寄り添おうという姿勢はまったくない。防衛副大臣との会談で、知事や漁協代表が不信感を伝えたのも当然である。

 防衛省は強引に押し進めるのではなく、まずは真摯(しんし)に地元の不信に向き合い、信頼関係の構築から始めるべきではないか。(古賀史生)

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