山口祥義知事(右)に玄海原発3、4号機の再稼働に関する政府方針の文書を手渡す経産省資源エネルギー庁の日下部聡長官=佐賀県庁

 原子力規制委員会の審査に合格した九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)に関し、資源エネルギー庁の日下部聡長官は20日、佐賀県庁を訪れ、山口祥義知事に再稼働する方針を伝え、理解を求めた。山口知事は「何よりも県民の安全が大切」と強調した上で、原子力政策や安全性の確保、住民説明会の実施など全般について、国の責任の明確化を求めた。

 世耕弘成経済産業相は同日の閣議後会見で、佐賀県と玄海町だけでなく周辺自治体にも、「理解を深めていただけるよう、さまざまな機会を利用して政府の方針を丁寧に説明する」と述べた。地球温暖化対策の新しい枠組み「パリ協定」に触れ「温室効果ガスを排出しない原発は温暖化対策を実現する上でも重要な手段だ」とも語った。

 日下部長官から経産相名の文書を受け取った山口知事は「大きな問題で、県民にもさまざまな意見がある」として、国や事業者の動向を注視しながら対応する考えを示した。県議会や市民団体、広く意見を聴く委員会など賛否が割れている県内の声を紹介し「住民への説明は丁寧にやっていただきたい」と注文、説明会を開く範囲の明確化を求めた。経産相や原子力防災担当相の来県も要請した。

 その後、副島良彦副知事が資源エネルギー庁の小澤典明資源エネルギー政策統括調整官と具体的に意見交換した。副島副知事は県原子力安全専門部会への説明や、半径30キロ圏にある唐津・伊万里両市には国が直接訪問し、住民説明に関して相談することを求めた。他の市町でも説明会の要請があれば応じるよう促した。

 住民説明会に参加できない県民への対応として、審査結果の説明用ビデオや分かりやすい資料を作成し、公開するよう要望した。国の回答時期は「1~2週間後のイメージ」という。小澤統括調整官は岸本英雄玄海町長にも政府の方針を伝えた。

 面談後、日下部長官は「国は原子力政策全般の責任を負っている。国の責任を明確にしながら進めたい」と述べ、関係省庁と連携して対応すると説明した。山口知事は住民説明会について「県民の期待に応えられる形にしなければならない」との見解を示した。

=県の要望要旨= 事業者の監督徹底/振興策/防災対策の検証

 ▽原子力政策やエネルギー政策に国が責任を持って取り組む

 ▽原子力規制の一層の充実強化に取り組み、事業者への指導・監督を徹底する

 ▽廃炉措置の安全に万全を期し、事業者への指導・監督を徹底する。撤去完了までを見据えた対策を図り、立地自治体が新産業創出や企業誘致に継続的に取り組めるような政策を講じる

 ▽原子力防災対策の継続的な検証と改善に取り組む

 ▽説明会では周辺自治体や市民団体の意見にも丁寧に対応する

 ▽事業者に説明責任を果たすよう国から働き掛ける

 ▽再生可能エネルギーの導入促進に向け、見通しを示しながら全力で取り組む

 ▽経産相、原子力防災担当相が現場を確認する

 ▽説明活動を行う地元の範囲を明確に示す

 ▽福岡、長崎両県にも丁寧に対応する

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