2年前からセミセルフレジを導入しているスーパーモリナガ。人手不足が深刻化し、県内の半数の店舗で営業時間も短くした=佐賀市川副町のスーパーモリナガ空港通り店

■時給アップも「人が来ない」

 人手不足が深刻化し、佐賀県内でも外食や小売業を中心に営業時間の短縮などの対応を迫られる企業が増えてきている。経営圧迫も覚悟で時給引き上げに踏み切るところもあるが、好転の兆しは見えず、「いったい、人はどこにいるのか…」。経営者からはため息が漏れる。

 ハンバーグ専門のチェーン店「オニオン」は3月半ばから、イオン佐賀大和店(佐賀市大和町)のテナント店を週1回休みにした。年中無休の大型ショッピングセンターでは、“異例”の対応。「くしの歯のように抜けたシフトの穴を社員でカバーしてきたが、限界だった」。店長は打ち明ける。

 土日・祝日に830円だった時給を千円にまで引き上げたが、応募はまったくなかった。「このまま続ければ、法定の労働時間さえ守れない」。レジ担当者らを確保できず、昨春から直営店の営業開始時間を午前7時から2時間遅らせているイオンも、同店の訴えを受け入れるしかなかった。

 佐賀県の3月の有効求人倍率(季節調整値)は1・17倍。佐賀労働局が統計を始めた1963年以来初めて11カ月連続で1・1倍を超えた。求職者1人に1~2社の求人がある形で、人材の獲得競争は激しさを増す。

 背景にあるのが、緩やかな景気回復に伴う雇用環境の改善と人口減少だ。有効求人数は前年同月比8・4%増だったのに対し、有効求職者数は同2・7%の減。高校生の県外就職率が4割を超えるなど、10~30代は転出者が転入者を上回り、人手不足に拍車が掛かっている。

 県内に食品スーパー10店舗を展開しているスーパーモリナガ(佐賀市)も今年から、うち半数の店舗で閉店時間を1時間早めた。2年前に代金の支払いを客が行うセミセルフレジを導入。従業員の負担低減を図るとともに時給も引き上げてつなぎ止めに努めてきたが、もうけの少ない時間帯をカットし、サービス水準を維持せざるを得なかったのが実情という。

 「ライバルは同業他社にとどまらない。時給もどんどん上がるばかりだ」。ある大型店の店長が言うように、製造、運輸、医療、サービス…。幅広い業種で人手不足が頭をもたげる。

 石油販売大手の新出光(福岡市)。4月から順次、県内のガソリンスタンド2店舗を含む9都府県27店舗の閉店時間を30分~2時間早めた。長崎県内の1店舗は24時間営業を廃止。店舗運営の効率化を図りながら、必要な人材確保につなげる狙いもある。

 帝国データバンクの企業調査で、正社員、非正規社員が不足していると答えた県内の事業所はともに約4割に上った。うちパートなどの非正規社員の割合は全国で3番目に高かった。

 社員の応募がなく、2年前に60歳の定年制度を撤廃してやりくりしている食品メーカーの社長は「これ以上人が減れば、仕事を断るしかないでしょうね」。売り上げの減少も覚悟する。

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