専用の重機で、無数の微細な穴が空いたシートを引き出しながら筒状にし、土中に埋め込む施工業者=杵島郡白石町福富

■圃場の排水機能改善へ

 麦や大豆、タマネギなどの収量や品質を高めるため、圃場(ほじょう)の排水対策の徹底が課題となる中、経済性などに優れた技術として注目されている「シートパイプ暗きょ工法」の施工実演会が杵島郡白石町であった。農業関係者の間では昨年産タマネギの不作の原因として圃場の排水機能低下も挙げられており、短い工期で高い排水効果が期待できる技術について学んだ。

 実演会では、同工法の普及を目指している西日本圃場改良(久留米市)のスタッフが、九州大学大学院農学研究院の福田哲郎准教授の立ち会いのもと、同町福富の久原博實さん(67)の圃場約1ヘクタールに施工。専用の重機で、無数の微細な穴が空いたシートを引き出しながら筒状にし、土中に埋め込む作業を関係者が見守った。

 同工法の特徴の一つは、水はけを良くするための砕石やもみ殻など疎水材が不要なこと。福田准教授は「掘削は圃場の隅だけでよく、従来の弾丸暗きょとほぼ同じ要領で施工できるため、短時間のうえ、重機の数なども少なくてすむ」と利点を語る。

 従来工法では、吸水管の埋設箇所を約1メートルの深さまで掘削。約10メートル間隔で埋設するが、疎水材として周囲に使うもみ殻が次第に腐ってしまい、排水性が低下する難点が指摘されていた。シートパイプでは、間隔が4メートルと狭く、深さも約40センチと地表に近い。

 コメの収穫後など非かんがい期には、シートパイプの先端に付ける管のふたを開けて通気を確保。「土壌を内側からも乾燥させることができ、土に亀裂が入ることで高い排水機能が長持ちする」(福田准教授)という。

 この工法が開発されたのは約40年前。佐賀県では圃場整備事業の対象となっておらず、普及していないが、九州では大分県宇佐市などに施工例が多いという。

 久原さんは「ここ数年、圃場の排水性が落ちており施工を決めた。タマネギ不作の原因となったべと病の流行も、排水性の悪さが影響していると思う。この工法が白石や佐賀の農業の生産性を高める端緒になれば」と期待していた。

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