トヨタの燃料電池車「MIRAI」に試乗する安倍首相=2015年1月、首相官邸

■高値影響、水素供給施設も少なく

 次世代自動車としてトヨタなどが販売し、水素を燃料に使う燃料電池車の国内登録台数が、発売から2年がたった昨年末現在で1500台弱にとどまっていることが関係者への取材で22日、分かった。

 車体が720万円超と高価な上、「2020年度に160カ所程度」が政府目標である水素ステーションの数も現在、90カ所と少ないことなどが理由とみられ「20年に4万台程度とするとの国の目標達成は厳しい情勢だ」(政府筋)という。

 関係者によると、トヨタの燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の登録台数は14年の発売から昨年末までで約1370台。ホンダが昨年からリース販売をしている「クラリティ フューエルセル」は約110台だった。MIRAIの購入時には220万円を超える国の補助金があり、地方自治体の中にも補助制度を設けている例がある。

 業界関係者によると、燃料電池車に水素を供給する水素ステーションは、1カ所の建設費用が約4億円に上る。採算が取れるには1カ所当たり顧客として約千台の燃料電池車が必要とされるなどの状況もあって、建設が進んでいない。

 経済産業省など産学官の有識者らでつくる水素・燃料電池戦略協議会が昨年3月にまとめた「水素・燃料電池戦略ロードマップ」は「燃料電池車は20年までに4万台程度、25年までに20万台程度」とするなどの目標を明示。水素ステーションは「20年度までに160カ所程度、25年度までに320カ所程度」とされている。

 経産省資源エネルギー庁は「燃料電池車への需要はあり、今後、メーカーの生産能力向上も期待できる。普及台数やステーションの目標は野心的ではあるが、現実的な目標だと考えている」(新エネルギーシステム課)としている。

 燃料電池車は走行時に温室効果ガスを出さない次世代のエコカーとして官民が普及を進めている。【共同】

 ■燃料電池車

 水素と酸素の化学反応によって電気をつくる燃料電池の力で進む自動車。運転中には水しか出ないため、次世代のクリーン自動車として開発が進んでいる。トヨタが2014年12月、世界初の一般向け燃料電池車「MIRAI(ミライ)」を発売した。トヨタは年間の生産台数や目標を明らかにしていないが、15年1月に「17年には3000台程度に拡大する」と発表している。1台720万円超と高価格な上、水素の生産や輸送、ステーションの整備などの低コスト化が課題。

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