口頭弁論の前に街頭活動する漁業者ら=長崎市の長崎地裁前

 国営諫早湾干拓事業を巡り、諫早湾(長崎県)の漁業者が国に潮受け堤防排水門の開門を求めた訴訟の口頭弁論が23日、長崎地裁であった。4月の開門差し止めを認めた地裁判決を受け、開門しない方針を決めた国側は、関連するすべての訴訟で有明海再生の基金事業による和解を提案し、解決を目指す構えを示した。

 開門訴訟は関連する同地裁の開門差し止め訴訟で和解協議が行われたため審理が事実上止まっていたが、協議打ち切りで再開された。裁判長は、開門差し止めを命じる判決を出した松葉佐隆之裁判官の異動で武田瑞佳裁判官に代わった。

 口頭弁論では、地裁が既に示していた漁業者側、国側の双方の主張整理案について、次回以降に検討することを申し合わせた。

 また瑞穂漁協(長崎県雲仙市)の石田徳春組合長が意見陳述し、2002年の短期開門調査後にアサリの水揚げ量が回復し、魚も戻ってきた状況を挙げて「有明海再生は開門以外にないのを確信した。これまでの漁業振興策の成果は見えてこない」と訴えた。

 終了後に農水省農地資源課の高橋広道室長は会見で、基金事業は長崎地裁の和解協議で提示した100億円規模をそのまま引き継ぎ、今後漁業団体などとの協議で説明する方針を明らかにした。諫早湾の漁業者が開門を求めた関連の訴訟では一審、二審で開門を認めない判決が言い渡され、現在最高裁に上告している。

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