日本で初めて証人喚問が行われたのは、終戦直後の昭和22(1947)年8月の第1回国会である。衆院特別委員会で「水飴退蔵(みずあめたいぞう)事件」と「隠退蔵物資摘発妨害事件」を追及した時だった◆「退蔵」とは耳慣れない言葉だが、隠して所持することをいう。戦時中に旧日本軍によって隠匿された、大量の水飴を含む軍需物資の処理について問いただしたのである。物資の全貌を明らかにして不正な処理を防ぎ、正常な流通にのせて、経済の再建を図るというのが目的だった(阿部雅亮著『証人喚問』)◆その国会に呼ばれた関係者に、委員が「戦災者、引き揚げ同胞の多くの子供が一かけらの飴すらなめられず…」などと迫っている。当時の困窮した食糧事情も伝わり、国民の側に立った厳しい追及がなされた◆どちらの役者が上手だったのか。昨日あった「森友学園」の籠池(かごいけ)泰典理事長の証人喚問だ。籠池氏は安倍首相夫人から100万円の寄付を受けたと証言。国有地の取得に向け夫人に相談したことも明かした。その真偽は確認できないまま混乱は深まった感がある◆かつては飴をなめられない子のひもじさを代弁した国会議員。今回は教育の場が舞台となり、新学期を目前に親子が振り回された。財務省関係者を呼んでの今日以降の「第二幕」で、国民のもやもやを晴らしてもらいたい。(章)

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