■「テロ対策に必要」の声も

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が衆院を通過した23日、佐賀県内では「テロ対策に必要」と受け止める声がある一方で、「論議が尽くされていない」との指摘が相次いだ。一般人が捜査対象になるのかなど、不安や疑問点が解消されていないと感じる人が多く、参院での慎重な審議を求めている。

 「法案を深く知っている訳ではないけれど、テロ対策のためには法整備を急いだ方がいい」。佐賀市の会社員橋口大樹さん(31)は与党による採決強行もやむを得ないと受け止めた。

 日本時間の同日朝、英国では20人以上が死亡する爆弾テロ事件が起きた。唐津市浜玉町の自営業芹田勝さん(73)も「日本でもテロが起きたらと思うと怖い。報道機関の世論調査では賛否が拮抗(きっこう)しているが、緊張が増す国際情勢を考えれば新法は必要」と考える。

 佐賀市の田中正博さん(73)は「意見を公に発信しづらくなり、社会が息苦しくなる」と考え、法案に反対する。「国民の大多数は政府の説明に納得していないと思う。強引な国会運営は『安倍1強』のおごりでしかない」と批判した。

 三養基郡みやき町の大学生淺川きららさん(18)も「国民が関心を持つ時間もないまま、全てが与党の数の力で強引に進められている」と感じている。

 安全保障関連法案が国会で審議された2年前、友人と街頭で反対の声を上げた。今回、法案の内容に疑問を感じ、新聞やインターネットで調べ始めたのは数日前だった。「もう衆院を通過したことに戸惑っている。大切な法案ならもっとじっくり、国民の前で堂々と議論すればいいのに」

 佐賀大の吉岡剛彦教授(法哲学)は「安倍政権は『共謀罪』を『テロ等準備罪』と言い換えることで、多くの国民に『自らが捜査対象になることはない』と思わせた」とみる。「内実は、警察の裁量一つで市民も対象になる懸念は何ら解消されていない」と述べ、社会を萎縮させる恐れがある法案の問題点や、今後の審議を注視する必要があると指摘した。

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