感謝の涙は尊いものだ。先週、画家池田学さん(43)=多久市出身、米国在住=の感極まった涙の場面に居合わせた。佐賀県立美術館での個展開場式のことである◆「描いていると目の前のことしか見えないが、見えない先にこれだけ多くの人が応援してくれてたんだなと。待っていてくれてたんだなと…」。後は言葉にならなかった。遠い異国の地で一人奮闘していた時には思いもよらなかったかもしれないが、故郷のたくさんの人の支援に謝意をあふれさせたのである◆この人も涙を光らせた。大相撲初場所で初優勝を果たした大関・稀勢の里関(30)。千秋楽を前に優勝が決まって、そして昨日の優勝インタビューで、こらえきれずに涙が頬を伝った。「いろんな人の支えでここまでこれた」。もらした感謝の言葉に万感がこもっていた◆中学を出て15歳で入門し、初土俵から15年で悲願を達成。横綱昇進も確実となった。大器といわれてスピード出世したものの、先代師匠の急逝、部屋移転、結果がなかなか出ないもどかしさ…。苦難が続いたが、人生何があっても、あきらめてはいけないことを教えてくれた◆人は自分のために出せる力はたかが知れている。でも「この人のためなら」と他を思うことで、不思議な力が湧いてくる。そして涙に触れた私たちも、勇気をもらうのである。(章)

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