トンネル栽培のタマネギの収穫作業。十分な玉太りで、生産者は高値の取り引きを期待している=杵島郡白石町東郷

 全国2位の生産量を誇る佐賀県産タマネギの主産地・杵島郡白石町で、最も生育が早いトンネルやマルチ栽培のタマネギの出荷が始まった。2016年産が「べと病」のまん延で記録的な不作となっただけに、生産農家は、ほ場の状況に細心の注意を払いながら収穫に励んでいる。

 「品質は良好。きれいに太っとるよ」-。白石町東郷地区で収穫作業中の女性は、ソフトボール大のタマネギを掲げ、ほっとした表情を見せた。市場価格は現在、10キロ2千~2500円とやや高めで推移。別の農家は「いまのところは大丈夫だけど、生育をきちんと見ていかないといけない」。警戒の必要性を口にした。

 JAさが白石地区管内の本年産タマネギの作付面積は約1千ヘクタール。昨年産の収穫量が平年の5~6割にとどまったこともあり、118ヘクタール減少した。べと病の拡大期前に収穫できるトンネルやマルチの作付けが増え、極早生(わせ)や早生の割合は全体の半分程度になっている。3万6千トンの生産を目指している。

 本年産の収穫本番を迎え、JAや県、市町は「責任産地としての誇りを取り戻そう」と、ほ場改良や薬剤の適期散布、感染株の早期除去などを生産者に呼び掛けている。ただ、べと病拡大の兆候が見え始め、県農業技術防除センターが病害虫発生予察注意報を出している。

 今月13、14日の同センターの調査によると、県内で罹病(りびょう)株の発生率は0・13%。昨年同時期の約1割にとどまっているものの、これから本格的な感染期に入ることを念頭に「決して油断はできない」とくぎを刺す。

 JAさが白石地区は今月22日まで、9支所ごとにタマネギ部会員を対象にした現地研修会を開催。べと病の発生ほ場を視察し、罹病株の見分け方や今後の防除策などの情報を共有した。

 このうち竜王支所の研修会には約20人が参加。男性組合員(64)のほ場約30アールを見学し、遠目には健全に見える緑の畑でも罹病株が数多く見つかることを学んだ。組合員の男性は「べと病はまだ入っていないと思っていた。すでに感染が始まっていると気づけて良かった」と表情を引き締めた。

 県やJAは、国の研究機関などと連携して原因究明を進めており、防除効果の高い薬剤を選定する。新たな技術を検証する農地を県内各地に設けるなどして、予防策を強化する。

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