下痢や炎症を抑える効果があるオキナグサ

■「ねつこ草」万葉集に登場

 山野の日当たりのよい草地に生えるオキナグサ。暗紅紫(えび)色の花に、全身を覆うなめらかな絹毛。日本最古の和歌集、万葉集にも「ねつこ草」の名で登場し、恋い焦がれてしまった女性をオキナグサにたとえています。

 「芝付の 御宇良崎なる 根都古草 逢(あ)ひ見ずあらば 吾恋ひめやも」という歌で、“もし貴方(あなた)と逢うことがなかったら、私はこんなに恋しく思うだろうか”とうたっています。

 花の時期は、桜の頃から5月までです。うつむき加減で咲きはじめ、盛りを過ぎると上を向き、実を結ぶときらきら輝く綿毛が四方八方に広がります。その銀色の毛を翁(おきな)のひげに見立てて、翁草(オキナグサ)と名付けられました。

 根には下痢や炎症を抑える効果があり、その生薬の名も白頭翁(はくとうおう)といいます。一度見ると、強く心に残るオキナグサ。万葉びとも愛したこの花が、いつまでも山や野に咲いてくれますように-。(中冨記念くすり博物館)

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