市民が危険にさらされている限り原発の再稼働には反対だと話す白川博一壱岐市長=長崎県の壱岐市役所

 九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)から半径30キロ圏にある離島の中では群を抜いて人口が多く、再稼働に反対する長崎県壱岐市の白川博一市長(66)に、反対の理由などを聞いた。

 ■原発30キロ圏内の8市町の首長では、白川市長と伊万里市の塚部芳和市長だけが再稼働への反対を明言している。なぜ反対するのか。

 国は原発の安全確保のためにあらゆるハードルを設け、そして今、九州電力に「再稼働をしていい」と言っている。しかし、原子力規制委員会がいくら「こういうことだから安全ですよ」と説明しても、私にはその内容を理解できる知見がない。

 国が100パーセント事故はないと言い切れるのなら賛成する。それを言うべきだと思うが、決して言わないし、万一事故があれば責任を持つとも言わない。

 そういった中で、住民が不安だと言っている。私は危機管理は行政の最大の責務だと思っている。原発が危険か、危険でないか判断できず、住民が不安を抱いているのであれば、反対せざるを得ない。

 ■壱岐市の人口は約2万8千人(30キロ圏内は約1万5千人)。市民のどの程度の人たちが不安を抱いていると思うか。

 全員だ。山に登れば分かってもらえるが、壱岐からも原発が目視できる。夜になれば、点滅灯が光っているのが分かる。20キロ以上離れていれば佐賀では見えていないのが、ここからは見える。同じ距離でも不安の大きさが違う。

 (原子力規制委が公表した)玄海原発の過酷事故を想定した放射性物質の拡散予測によれば、壱岐は、事故後1週間でも高い被ばく線量になっていない。高線量の範囲は約10~20キロ手前でとどまっている。しかし、あくまでシミュレーションであり、100パーセント正しいかどうか分からない。全島避難も考えないといけない。

 ■市民の大多数が反対していても、現状では、九電が地元同意を必要とする自治体ではない。長崎県知事も地元同意に関わらない仕組みの中で、どのようにして市民の声を国や九電に届けるのか。

 長崎県と4市(壱岐、松浦、平戸、佐世保)で九電と安全協定を結んでおり、それに基づいて協議していく。私は長崎県の市長だから、長崎県のルールに従ってやる。

 しらかわ・ひろかず 1950年生まれ。旧壱岐郡芦辺町長などを経て2008年から壱岐市長。現在3期目。全国離島振興協議会会長を務める。

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