JR新八代駅をすぎ、接続線で軌間変換装置の上をゆっくりと通過するフリーゲージトレインの車内。台車のモニター画像を見ながら国交省鉄道局技術開発室の岸谷克己室長(右)が解説した

新八代接続線に設置された軌間変換装置。手前が在来線、奥が新幹線=熊本県八代市

■揺れ、騒音 新幹線と同程度

 新幹線長崎ルートへの導入に向けて検証走行試験を重ねているフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)。報道機関を対象にした試乗が25日、鹿児島ルート熊本-新八代間などで行われた。初夏に控える技術評価委員会では、耐久走行試験の可否を視野に入れた議論になる。大きな節目を前にした試験車両に乗り込み、完成度を体感した。

 午後3時15分。JR熊本駅の新幹線ホームに停車するFGTに乗車する。4両編成。新幹線車両より5メートルほど短く、車両幅も約40センチ狭い。ホームとの間に30センチの隙間があったが、乗車口からホームへ足踏み台がせり出し、乗りやすかった。

 客車に案内される。新幹線よりも客席は少ない。中央通路を挟んで左右2席ずつの4席が11列だけ。その先は通路の両脇が壁。8メートルほど続く。壁の中には、在来線と新幹線の2系統の機器や車輪幅変換に関する装置があるという。「営業車両では、こうした機器を小型化しないと客席を確保できない」。国交省の担当者が話す。試乗経験がある佐賀県議らが「(在来線特急の)かもめに近い」と語っていたが、サイズ感としてはまさにその通りだ。

 午後3時35分。新八代駅に向けて走り出す。熊本駅まで新幹線に乗ってきたが、加速が少し緩やかに感じたものの、揺れや騒音はほぼ変わらない。出発して4分ほどで「時速260キロに到達しました」とのアナウンス。新八代駅までの33キロを約10分と、新幹線と変わらない時間で走行した。

 新八代駅新幹線ホームから在来線につながる接続線(約1キロ)へ。車輪の幅を新幹線から在来線に変える変換装置(約70メートル)を通過する。時速10キロ程度。通過時に車両が5センチほど持ち上がるという説明を受けたが、その感覚は全くない。「2号車、軌間変換しました」。体感はないが、客室前方のモニターに映し出された車軸の映像を見ると、車輪が中央寄りに滑らかに移動する様子が見えた。

 在来線区間は八代の有佐駅まで約6キロを往復する。線路の継ぎ目やポイントでは揺れるが、特急の体感とさほど変わらなかった。

 体感には個人差がある。国交省の担当者に「新幹線区間では揺れましたよね」と尋ねる記者の姿があった一方、「完成に近いという印象」(山口祥義知事)との試乗者の声もある。営業車両のレベルにどこまで近づいているのか。専門家による評価を待つしかない。

■検証走行試験26日終了 車軸摩耗状況精査へ

 国土交通省は25日、フリーゲージトレインの検証走行試験を26日で終了することを明らかにした。目標の1万キロの3倍となる3万キロを走行しており、国交省技術開発室の岸谷克己室長は「目視や潤滑油の汚れ具合などでは大きな問題は見つからなかった」と話した。今後は台車を解体して車軸の摩耗状況を精査する。

 2014年10月から耐久走行試験を開始したが、車軸の摩耗などが見つかり中断。改善策の有効性を確認するため16年12月から検証走行試験を重ねていた。専門家の評価を踏まえ60万キロの耐久走行試験の可否を判断する。

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