佐賀美術協会の第100回記念展に向け、作品の飾り付けが進む会場=佐賀市の県立美術館・博物館

 佐賀美術協会(美協)の第100回記念展が26日、佐賀市の県立美術館・博物館で開幕する。地方の美術展としては全国にも例のない歴史と規模を誇る展覧会。今回は100回の節目を記念して、各部門の出品作から「大賞」を選出、100年史刊行も予定している。会場では展示準備が進んでいるが、1世紀におよぶ県画壇での伝統を踏まえ、次代への飛躍に向けた展覧を期待したい。

 佐賀美術協会は、第1次世界大戦の勃発前夜、当時の若い人たちが「軍人や外交官にばかり憧れている」として、「地方文化向上のため佐賀でも展覧会が開けないか」と、1913(大正2)年10月に設立した。その中心となったのが、日本の近代美術をリードした岡田三郎助や久米桂一郎、在郷の山口亮一ら東京美術学校(現・東京芸大)OBたちだ。

 翌1914(大正3)年7月に、旧県議会議事堂で第1回展を開催。関東大震災時や第2次大戦中には一時途絶えたが、大正から明治、そして昭和、平成と受け継がれ、今回で100回という大きな節目を迎えた。

 歴史を刻んできた背景には、県全体の美術の底上げを図ろうと、美術団体がさまざまな会派の垣根を超えて運営にかかわってきたことがある。加えて、地元佐賀大学の学生、教員らが教育学部特設美術科(特美)時代から積極的に取り組み、佐賀の画壇を育んできたことも挙げられる。

 現在、美協展は日本画と洋画、彫塑、工芸の4分野にわたり一般公募・会友の部で展覧会を実施。一般の公募部門は若手の登竜門的な位置づけとなり、学生たちと、それに競うように中堅とベテランも意欲作を出品している。

 今回の記念展へ向け、美協は実行委員会を組織し、さまざまな企画を計画している。例年4部門でそれぞれ選んでいる「美協賞」の中から、今回は「大賞」を選出。また、メイン事業として「佐賀美術協会100年史」の刊行へ準備を進めている。100年史は、その歩みを草創期や発展期などに分けてたどり、学識者の寄稿などを交えて顕彰する内容だ。さらに、佐賀大の在学生や卒業生で公募部門一席を受賞した作品を展示する「佐賀大学と美協展」(6月11日まで佐賀大学美術館)、郷里で美協を率いた山口亮一と美協の100年をたどる展覧会も県立美術館で7月28日から開催される。

 美協は会員約250人。中核を担う世代の県外への流出などもあり、会員の高齢化がここ数年指摘されている。この100年展を新たなスタートとするためにも、佐賀大学に設立された芸術地域デザイン学部などとさらに連携を深めながら、若手が佐賀に根付く環境づくりに努め、創立時の志を次代につなげてほしい。(丸田康循)

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