窒 息

 watabokuさんは幼いころ、自分が生まれる前まで漫画家だった父親によく絵を描いてもらった。4歳上の姉も絵を描くのが好きで、二人の背中を追うように絵を描いていた。

 美術部に入ったのは高校からで、それまでは教科書やノートに落書きをする程度だった。友人に誘われて中学時代からバンドを組み、絵よりも音楽活動に熱中した。ただ、東京の大学で絵の勉強を始めた姉の姿が頭の片隅にあった。放課後の部室でデッサンに没頭し、初めて絵と真剣に向かい合う。

 絵を描くのが好きでも仕事にできるか不安で、大学では車や電化製品の商品デザインを学んだ。卒業後は、商品の企画でデザイン力を生かせる福岡県の食品会社に就職した。

 デジタルで描かれた絵に魅了されたのはこのころで、当時、世界的に知名度の高かった海外のアート系SNS(会員制交流サイト)に投稿された写実性の高い作品に触発された。すぐにパソコンで絵を描くためのタッチパネルとペンを購入し、デジタル作品の創作を始めた。老若男女を問わず、何でも描いて海外サイトを中心に投稿し、閲覧数は一晩で200ほどだったものが次第に400、500と増えていった。

 バンドマンとしても活動し、仕事と絵と音楽全てを掛け持つのに限界を感じていたころ、何気なく見た有名アーティストのミュージックビデオに引かれた。これを仕事にすれば音楽に関わりながらデザインを生かせると考えた。

 2012年、約3年半勤めた会社を辞め、東京に拠点を移す。東京は父親が漫画家として生きた場所。社会人になったばかりのころに病気で亡くなった父。その父が漫画を描いていた東京への思いを抑えきれなかった。

1.Visitor.009 wataboku(デジタルアーティスト)

3.求めた表現に到達

4.絵に込めた“記号”

5.クリエイターを目指すみなさんへ

watabokuさん メイキング動画

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