諫早湾干拓潮受け堤防閉め切り前後のデータを基に有明海再生の方策を探る研究者や参加者たち=佐賀市の県弁護士会館

 漁獲量減少や環境異変が指摘されている有明海の再生の道を探るシンポジウムが22日、佐賀市の県弁護士会館で開かれた。潮受け堤防閉め切りから約20年がたち、諫早湾干拓事業の前後から今に至るまでの海況調査データを踏まえ、開門調査の必要性を検討した。

 環境省の有識者会議「有明海・八代海総合調査評価委員会」は10年ぶりに再生提言の報告書を取りまとめる。シンポは委員の研究者も交えて課題を整理した。

 講演で長崎大学名誉教授の東幹夫氏は、計画時の環境アセスメントで国が干拓事業が与える影響を「許容しうるもの」としたことを批判した。2002年の短期開門調査後に、ヨコエビや二枚貝などが回復した調査結果を示し、「開門だけでなく、堤防の撤去も考えるべき」と迫った。

 評価委メンバーで佐賀大学低平地沿岸海域研究センターの速水祐一准教授は、タイラギなどの二枚貝の大量死を引き起こす「貧酸素水塊」は1970年代から見られたと説明。有明海湾奥部で淡水が長時間滞留してプランクトン発生が増えたことに加え、二枚貝減少でプランクトンの消費が減り富栄養化したと指摘した。「諫早湾干拓事業と結び付けなくても説明できる」と一線を画した。

 パネル討論では研究者5人が意見を交わし、開門派は「堤防閉めきり後の赤潮多発は事実。蓄積された有機物が貧酸素化を招いている」と反論した。

 シンポは諫早湾開門研究者会議と有明海漁民・市民ネットワークが企画した。

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