オスプレイに原発、そして、新幹線と諫早湾干拓。佐賀県は今年も国策に揺れ続けた1年となった。いずれも結論は持ち越された形だが、来年は決着に向けた動きが出てくる可能性が大きい。就任3年目に入る山口祥義知事も折り返し点を過ぎ、決断が迫られる正念場の1年となりそうだ。

 政府が、佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備を県に打診して2年半となる。今年に入り、試験飛行を実施したり、地元説明会を繰り返すなど、地元同意に向けて本腰を入れ始めた。

 しかし、安全性や騒音問題など県民の不安が払拭(ふっしょく)されたわけではない。米軍は今月、沖縄本島上空での給油訓練中のトラブルで大破事故を起こした。徹底的な原因究明を求める沖縄、佐賀両県の知事の訴えを無視するように、米軍は事故からわずか6日後に飛行再開し、日本政府も容認している。

 大破事故の対応だけ見ても、日米同盟を優先して地元は後回し。これが基地を持つ県の実情だ。安倍首相は10月の国会答弁で、米軍の訓練が佐賀で行われる可能性にも言及した。不安を残したままでは交渉の席につけないというのが佐賀県民の思いではないか。

 福島の原発事故を受け、玄海原発の全4基が停止してから5年。玄海3、4号機が原子力規制委員会の安全審査で事実上の合格となった。再稼働に向け、地元同意が今後の焦点となる。

 原発30キロ圏内の避難計画については、交通渋滞対策や災害弱者の避難誘導など問題点が山積している。県はさまざまな団体の声を聞く第三者委員会を立ち上げたが、「意見は反映されるのか」という不満も出た。住民視点の避難計画をつくることができるのは国ではなく、県や市町だ。再稼働前しかできない議論を深めたい。

 九州新幹線長崎ルート整備もフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の開発が難航し、計画が揺らいでいる。開発できなければ、特急と新幹線を乗り換えるリレー方式を延々と続けることになる。そうなれば利用者にとって不便で新幹線効果も乏しい。

 国は半年後にもFGT開発が可能か否かの判断を出すという。開発が無理となれば、全線フル規格化を求める声が出てくる可能性は大きい。ただ、工事費は巨額で県民負担は膨大なものになる。財政か、経済効果か。県は厳しい選択を迫られることも予想される。

 国営諫早湾干拓事業の開門問題は、国が漁業者に「100億円基金」を提示した。「有明海再生のために基金を受け入れるべき」との声はあるが、ずっと求めてきた開門調査が遠のく可能性もある。福岡、長崎、熊本の漁業団体には容認論もあり、佐賀県の漁業者は悩ましい状況が続く。

 一方で、明るい話題も続いた。唐津くんちの曳山(ひきやま)行事がユネスコの無形文化遺産に登録された。19年ぶりのバルーン世界選手権や、有田焼創業400年の記念行事も盛況のうちに閉幕した。世界にアピールできる素材をどう磨き、生かしていくか。未来志向の観光戦略を考える契機にしたい。

 4月の熊本地震では佐賀県からも被災地の西原村を中心に支援活動を展開した。災害の傷は十分には癒えていないが、同じ九州で生きる仲間として支え続け、絆をより深いものにしたい。(日高勉)

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