経団連の榊原定征会長は23日、東京都内で開いた「労使フォーラム」で、賞与(ボーナス)や定期昇給を含む年収ベースでの賃上げを呼び掛けた。連合の神津里季生会長は賃金水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)が不可欠だとの認識を示した。労使とも賃上げに前向きだが、ベアへの姿勢にずれがあることが鮮明になった。労使トップが賃上げへの見解を表明したことで、2017年春闘が事実上スタートした。

 賃上げによる経済の好循環を目指す安倍政権下での「官製春闘」は4年目。16年春闘では定期昇給を含む賃上げ率が3年連続で2%を超えたが、伸び率は鈍化した。米国のトランプ政権の発足や英国の欧州連合(EU)離脱など世界経済の先行きに不透明感が増す中、経営側がどの程度の賃上げに応じるかが注目される。

 連合が「2%程度を基準」とするベアを要求する一方、経営側は恒久的なコストアップとなるベアに慎重な姿勢を崩していない。榊原経団連会長は「賃上げのモメンタム(勢い)を今年も継続する必要がある。年収ベースでの賃金引き上げに前向きな検討をお願いしたい」と強調。神津連合会長は「消費を活性化させるには賃上げを実現させないといけない。経団連は総年収で対応するとしているがそれは違う」とベア獲得の重要性を訴えた。

 今春闘では、電通新入社員の過労自殺などを受け長時間労働の見直しも焦点となる。政府が進める働き方改革に関連し、榊原経団連会長は「労働時間の上限規制は必要と考えている」と述べ、無制限な残業を容認している現在の法制度の枠組みを変える必要があるとの考えを示した。

 労使フォーラムは24日まで。2月2日には経団連会長と連合会長によるトップ会談が開かれ、各企業の労働組合が2月中旬に要求を提出。大手の回答が集中する3月中旬に17年春闘はヤマ場を迎える。【共同】

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