環境省の有識者会議「有明海・八代海等総合調査評価委員会」は24日、有明海の環境と水産資源の再生に向けた報告書案を取りまとめた。10年前の最初の報告に比べ、七つの海域に分けて原因を整理し、再生策を示したのが特徴だが、社会問題となっている国営諫早湾干拓事業の影響にはほとんど触れていない。近く意見を一般公募し、3月末までに正式決定して国や佐賀県などに提出する。

 評価委は2000年のノリ不作をきっかけに特別措置法に基づき03年に設置、06年に報告書を公表後は休眠状態だった。深刻な漁業被害を背景に11年に特措法を改正し、審議を再開していた。報告書は農林水産省などが取り組んでいる有明海再生対策の18年度以降の事業見直しに生かされる。

 報告書案は10年前の約160ページから約600ページに膨らんだ。タイラギやアサリなど二枚貝減少の要因の一つにナルトビエイの食害を挙げ、駆除や二枚貝の種苗放流を提案した。ノリの色落ちはケイ藻類の赤潮が原因とし、発生の仕組みを明確化していくよう求めた。加えて、殺菌のための酸処理剤の適正使用に向け、水質への負荷を継続的に確認する必要があるとした。再生の目標時期は「おおむね10年後」とした。

 一方、諫早湾干拓事業の影響に関する記述は限定的で、「諫早湾の湾奥部、湾央部、湾口部で堤防閉め切り後に潮流の流速が低下する傾向が見られ、島原半島沿岸部では21~27%減少した」としながらも、シミュレーションにより、「潮流への影響は限られる」と報告、流速変化の程度は「明らかでない」とした。

このエントリーをはてなブックマークに追加