澤野善文佐賀新聞編集局長のインタビューに答える中村法道長崎県知事(左)=長崎県庁

                   

 国営諫早湾干拓事業の開門問題に関する長崎県の中村法道知事のインタビューでの一問一答は次の通り。(聞き手・澤野善文佐賀新聞社編集局長)

 ■長崎地裁での和解協議が事実上、破談となった。国が示した100億円の基金案に対し、当初から賛成の立場の長崎県としては、この結果をどう考えるか。

 仮に開門されるとなると、さまざまな影響被害が懸念されている。専門家の意見や、長崎地裁の開門差し止めの仮処分決定によると、開門しても具体的な影響を抽出して評価するのは困難だという。開門には巨額の対策経費が必要になり、そのような経費を投ずるのであれば、漁業振興策や有明海の環境改善に直接結び付く事業にこそ有効に活用すべきだというのが長崎県の立場だ。

 今回、長崎地裁から開門しないことを前提に和解勧告がなされ調整が進められている。関係者の合意が得られて、本当の意味での有明海再生につながっていくように強く期待している。

 ■開門反対の理由をあらためて聞かせてほしい。

 2010年に福岡高裁が一審の開門判決の支持を示した時、国は開門による環境影響評価(アセスメント)を進めているさなかだった。私たちはアセスの結果を見て慎重に判断してほしいと繰り返し要請したが、当時の政府は一方的に判決を受け入れた。アセスの結果は私たちが恐れていた通りの内容で、農業やアサリやカキの養殖など、さまざまな被害が生じることが明らかになった。

 国は開門に向けた対策事業費を300億~1千億円としたが、巨額の予算を投じても被害を回避することはできない。それをのみ込んで開門調査をしたとしても、具体的な影響を評価できる可能性は低い。そういうことを総合的に判断すれば、やはり開門するよりも具体的な形で有明海の再生に向けて力を合わせるべきだと一貫して申し上げている。

 ■有明海の環境変化の要因は何だと考えるか。

 さまざまな要因があると思う。熊本新港や筑後川大堰(ぜき)の建設など、大規模公共工事が行われてきた経緯もある。複合的な形で有明海の環境変化につながっている。

 ■その中で諫早湾干拓事業は一つの要因と考えているのか。

 まったく影響がないことはないと思う。

 ■開門前提の基金創設を求める考えが開門派の弁護団から示されている。長崎地裁の和解協議でその基金案が取り上げられた場合、長崎県としてはこの論議に加わる可能性はあるか。

 まずは開門差し止めの原告団と地域住民の方々が判断することだろう。差し止めの原告団は、開門を前提とした協議には応じない考えだと聞いている。

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