Q.私は農家をしています。現在は私と妻と長男夫婦で一緒に住んでおり、いずれは長男に後を継いでもらうつもりです。長男夫婦もそのつもりで農業の手伝いをしています。私と妻の間には長男以外にも娘が2人いますが、どちらも既に嫁いでおり、家を出ています。私が死んだら、遺産は当然後を継ぐ長男が全て引き継いで、家を守っていくものと思っていますが、法的に何か手続きは必要ですか。

A.相続の問題は、皆さんが人生で一度は必ず遭遇する問題かと思います。まず現在の民法では、家を継ぐ者(後継ぎ)が当然に遺産を全て引き継ぐという制度にはなっていません。あなたが今亡くなった場合、民法の相続の規定では、遺産の取り分として、妻が2分の1、長男と2人の娘がそれぞれ6分の1ずつとなっています。

 子どもが嫁いでいるかどうかは、相続分の規定においては関係ありません(長男が、農業を手伝ってあなたの遺産を維持・拡大させたなどの事情は「寄与分」と呼ばれ、遺産分割の際に考慮され得ます)。しかし、この民法の取り分の規定は、必ずその通りにしなければならないというものではなく、亡くなる方が遺言を残しておいたり、相続人同士の話し合いで、これとは異なる取り分で相続をすることもできます。

 ですので、あなたが長男に全て相続させたいのであれば、まずはその旨の遺言を作っておくべきでしょう。遺言は自分で作ることも、公証役場で作ることもできます。法的に有効な遺言を作成するためにも、一度専門家に相談することをお勧めします。

 ただし、長男に全て相続させる内容の遺言を作っても、それであなたの希望が確実にかなえられるわけではありません。遺言で取り分がない妻や娘たちにも「遺留分」といって、遺産の最低限の割合は受け取れる権利があります。ですので、妻や娘たちが期間内に遺留分を主張すれば、長男に全財産を引き継ぐことはできません。

 相続のトラブルは人間関係も壊してしまいかねません。死後に大切な人たちがもめないよう、事前に十分話し合いをしておくことが重要ではないかと思います。(佐賀市 弁護士・小野紗矢香)

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