スロベニアから訪れた卸業者(左)と高級和包丁の輸出について商談する吉田茂常務(右)=多久市の吉田刃物(提供写真)

■美術品として高級品も人気

 多久市の吉田刃物(吉田健司社長)が、高級和包丁の海外販売に力を注いでいる。輸出先の中心は日本食レストランが近年急増している欧州など。日本ドラマの影響で“サムライブーム”が起きていることもあり、国内販売の主流品より10倍以上高い5~10万円の高級品も売れている。

 「日本の歴史に興味のある富裕層を中心に、刀をルーツに持つ和包丁を美術品としてコレクションする動きもある」。同社の吉田茂常務は欧州輸出好調の要因をこう語る。

 海外展開のきっかけは7年前。中国の通販サイトで販売した高級和包丁に引き合いがあり、手応えをつかんだ。多層鋼の技術を使った表面に丸い模様のあるダマスカス包丁や、切れ味の持続性に優れる鋼の包丁が人気を集めたという。

 昨年3月には、スロベニアの卸販売会社の担当者が同社を訪問。この業者が開いた展示会を通じ、販売先はオランダやロシアなど7カ国に広がった。海外での売り上げは現在、前年度比2倍超で推移している。

 高級和包丁の国内販売は、3千円前後の中国製やベトナム製に押され、若者世代の料理離れなどもあって厳しい状況が続いている。

 同社は、2020年の東京五輪に向けた受注増を期待し、英語版サイトの開設準備を進めている。吉田常務は「世界での評価を受け、日本国内で和包丁の魅力が再認識されれば」と話している。

 国の貿易統計によると、国産包丁の2016年の輸出は、10年前の約15倍に伸びている。

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