佐賀県から国立ハンセン病療養所菊池恵楓園に贈呈され、記念式典で披露された「希望の鐘」=27日午後、熊本県合志市

 国立ハンセン病療養所菊池恵楓(けいふう)園(熊本県合志市)の「希望の鐘」を佐賀県が復元し、園内で除幕式が行われた。かつて入所者が社会復帰する際に鳴らしていた鐘で、入所者や寄付金を贈った県内の中学生ら130人が式典に参加し、偏見や差別の歴史を繰り返さないことを誓った。

 県などによると、鐘は歴史資料館前の高さ約20メートルの塔に取り付けられていたが、老朽化に伴い昭和40年代に外された。山口祥義知事が昨年訪問し、元患者と懇談した折に鐘の存在を知り復元事業を進めてきた。

 寄贈した新たな鐘は直径50センチ、高さ50センチで、約3メートルの支柱に取り付けられている。設計費などを含めて約610万円をかけた。

 山口知事は「郷里に帰れない、名前を名乗れないなど差別があってはいけない。この鐘は、同じ過ちを繰り返さないという私たちへの警鐘。多くの人に伝えたい」とあいさつした。

 15歳でハンセン病と診断され、恵楓園に入所した元患者で自治会長の志村康さん(84)=佐賀県出身=は「退所者を初めて見送ったとき、鐘が高らかに鳴り響いた。みんな一日も早く治りたくて、一生懸命に治療した」と振り返り、「当時と同じ澄んだ音色。この鐘に励まされながら、明るい未来に向かって生きていきたい」と謝辞を述べた。

 恵楓園では現在、県出身は男女13人が暮らしている。

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