人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した「心筋シート」を、重症心不全患者の心臓に移植し、機能を改善させる治療について大阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科)のチームは20日、臨床研究の実施を学内の審査委員会に申請した。

 チームによると、2018年前半にも開始する計画で、実現すれば、iPS細胞を使う心臓病治療の臨床研究としては世界初となる。

 iPS細胞を使った臨床研究ではこれまで、理化学研究所多細胞システム形成研究センター(神戸市)の高橋政代氏らのチームが、網膜の細胞を重い目の病気の患者に移植している。

 計画では、京都大の山中伸弥教授らが備蓄を進める、拒絶反応が起きにくいiPS細胞を使用。iPS細胞を心筋細胞に変化させてシート状に加工し、心不全患者の心臓にはり付け、安全性や効果を確かめる。

 審査委は「特定認定再生医療等委員会」で、研究内容や倫理面を検討する。実施が認められれば厚生労働省に申請。了承が得られれば18年前半にも開始し、5年後をめどに一般的な治療法となることを目指す。

 澤教授らは、心筋シートを心臓の働きが低下したブタに移植し、改善させることに成功している。チームは国内の移植医療で心臓の提供者不足が深刻化していると指摘し、「重症心不全の新たな治療法となる可能性がある」としている。【共同】

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