山田錦を植えた水田を見ながら意見交換する(右から)河内酒造の伊藤社長と専業農家の有馬さん、松隈さんら=鳥栖市高田町

 江戸時代、鳥栖市の東半分が長崎県の対馬藩田代領だった歴史的なつながりを縁に、鳥栖の米を使って対馬で日本酒を造る企画が動き出した。名付けて“鳥栖の酒造りプロジェクト”。対馬市唯一の造り酒屋の社長が鳥栖市の酒米生産農家を訪れ、来春にも新酒を発売することで話がまとまった。

 仕掛け人は福岡市でプランニング会社を経営する鳥栖市高田町の有馬国昭さん(61)。市内には造り酒屋がなく、地酒と呼べる酒がない。一方で平地が少ない対馬藩にとって鳥栖は貴重な米生産地で、年貢米を本藩へ送っていた歴史がある。その対馬市には1919(大正8)年に創業した対馬唯一の河内酒造がある。

 これらに着目した有馬さんは「鳥栖の農家と対馬の造り酒屋が一体となってうまい酒を造り、市民に愛される特産品としてブランド化すれば、鳥栖・対馬双方の地域振興につながる」と考えた。

 河内酒造の伊藤浩一郎社長(58)に構想を打ち明けると意気投合。酒米の山田錦は生産経験のある、近くの若手専業農家松隈裕己(ゆうき)さん(34)と有馬賢洋(まさひろ)さん(43)に協力してもらうことにした。

 18日は鳥栖市内の飲食店主や酒販店主らも加わって6月下旬に田植えした田んぼを視察した。10月下旬ごろ刈り取りし、12月ごろから仕込み、来春には新酒が出来上がる。米2トンで約3千リットルの純米酒を造る予定。有馬社長は「銘柄名は鳥栖と対馬の交流などを念頭にインパクトのあるものにしたい」と熟慮中だ。

 河内酒造は対馬の霊峰から名付けた清酒「白嶽(しらたけ)」や焼酎「対馬やまねこ」を生産している。

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