夏休みが始まりました。お子さんの夏休みの宿題のテーマとして「歯」の研究はいかがでしょうか。

 日本では古くから、生まれた子供の健やかな成長への祈りを込めて、馬、虎、亀、鶴など動物の名前を命名する習慣がありました。また神社仏閣、学校などでもシンボルマークとしてしばしば動物が登場します。医術の象徴として世界的に用いられているマークはヘビ(クスシヘビ)で、佐賀大学の校章にはカチガラスが使われています。これらは自然界の生き物の力強さに対する畏敬の念を表したものと思われます。

 動物の多くは、人間のように手や指を器用に使いこなせませんので、歯がとても重要な役割を担っています。哺乳類の歯は、肉食、草食など食性の違いにより前歯、犬歯、奥歯など役割に応じた大きさや形が異なる歯で構成されるように進化してきました。しっかりと顎骨と連携するように歯根が形成され、生涯に1回だけ生え変わるシステムが構築されました。

 虫歯ができる、歯周病で歯根がしみる、乳歯がなかなか自然に抜けないなどといった歯の悩みを抱えるようになったのは現代の人間だけです。これは、食べ物をよりおいしく、あまり咀嚼(そしゃく)しなくても済むように調理するようになったことの代償なのです。

 ハンバーグやカレー、ソフトクリームなど「カタカナ食」の大半は子供が好む食べ物ですが、ちぎることも、砕くことも必要としないものもあるため、歯や顎の運動面における成長促進効果はほとんどありません。

 ただ、おいしい食べ物をやめることはできませんので、人間は歯を守るために歯ブラシやフッ化物含有の予防剤という道具や薬を開発してきました。今後は子供の好物に歯を使ってちぎる、砕くといった食感の楽しさが加われば、歯や顎はより丈夫になることでしょう。

 この夏休みに動物園や水族館などに出掛けられる折には、生き物の命を力強く支えている「歯」にも関心を寄せていただければと思います。(すみ矯正歯科院長 隅康二)

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