訓練で、多言語コールセンターとつながった携帯電話を手に傷病者役の外国人に対応する消防職員=6月21日、唐津市ニタ子の市消防本部

 訪日外国人や外国人就労者が増える中、唐津市消防本部は、外国人から緊急通報を受けた場合の対応改善に取り組んでいる。言葉の壁により救助に必要な情報を電話で聞き取る難しさがあり、コールセンターの通訳を介して外国人に対応する実地訓練を始めた。

 4月、チェコ人の男性から体調不良を訴える通報があった。苦しみながら話す英語は途切れて聞き取りづらく、日本人への対応と比べて倍以上の時間がかかったという。携帯電話のGPS機能を使って唐津市内の現場を特定し駆け付けた。大事には至らなかったが、経験を共有して全員が対応できるよう訓練をすることにした。

 市消防本部では、日本語が通じない通報者の場合、通信司令員と12カ国語に対応する多言語コールセンターの三者で同時に通話する。現場でも隊員が、手に持ったコールセンターとつながった携帯電話を介して外国人傷病者に対応する。

 6月下旬、米国人女性の協力を得て初めて訓練を実施した。子どもがひきつけを起こしたという設定。通報から出動までの時間は日本人同士だと約1分で済むが、通訳なしは約8分、三者通話は約3分かかった。参加した職員は「救助に必要な情報が聞き出せず難しい」「落ち着いて対応するには習熟が必要」と定期的な訓練の必要性を挙げた。

 コールセンターを仲介する仕組みは県内5カ所の消防本部にある。訓練や研修に取り組んでいるのは唐津と佐賀広域消防局だけ。マニュアルがあるのは伊万里有田消防本部にとどまり、唐津市消防本部は今回の訓練の反省を生かして作る。

 国は外国人を、災害避難時に配慮が必要な「要配慮者」と定める。市消防本部警防課の田中博隆係長は「緊急時には消防の枠を超えた対処も必要になる。いざというときに混乱しないよう備えていきたい」と話す。

 市内で日本語教室を開き、外国人の防災教育に関わる内山智子さん(62)は「少し日本語を話せる人も、パニックになると言葉が出てこないことがある。安心して暮らしてもらうためにも、日ごろから対処できる仕組みを整えてほしい」と求めた。

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