観音寺の長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」=2013年1月、韓国・大田(聯合=共同)

 【大田共同】長崎県対馬市の観音寺から2012年に盗まれ韓国に持ち込まれた仏像について、韓国の大田地裁は26日、仏像を保管する韓国政府に対し、日本に返さず韓国中部瑞山の浮石寺(プソクサ)に引き渡すよう命じる判決を言い渡した。元々は数百年前に日本の倭寇(わこう)に略奪されたものだとして所有権を主張する浮石寺の請求を認めた。

 仏像は長崎県指定有形文化財の「観世音菩薩坐像」。現在は大田の国立文化財研究所が保管しており、盗み出した韓国人の実行犯には既に韓国で刑事罰が下されている。判決は窃盗行為を正当化することにもなりかねず、観音寺をはじめ日本側は反発。日韓関係に悪影響が出る可能性がある。

 韓国政府は26日、判決を不服として控訴した。政府は昨年の弁論準備手続きで「浮石寺が所有者だとの証拠が不足している」と指摘していた。

 菅義偉官房長官は判決について「極めて残念だ。速やかに日本へ返還されるよう韓国政府に適切な対応を求めたい」と述べた。

 文宝頃(ムンボギョン)裁判長は、仏像について「過去に正常でない過程で対馬の観音寺に収蔵された」と指摘、「浮石寺の所有と十分に推定できる」とした。判決確定前に寺側に像を引き渡す仮執行も認めた。

 浮石寺の円牛(ウォンウ)住職は判決を受け「日本には朝鮮半島から渡った文化財が約7万点ある。不法に流出した文化財を取り戻す出発点になればと願っている」と述べた。

 韓国文化財庁は14年、仏像が日本に渡った経緯を調査し「略奪された蓋然(がいぜん)性は高いが断定は困難」と結論付けた。

 像を巡り大田地裁は13年、韓国政府による日本への返還を差し止める仮処分を決定していた。

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