■ヒット生めるか正念場

 ソニーが赤字体質から脱却した。2017年3月期の連結純損益はゲーム事業の好調などで、久しぶりに2年連続の黒字となった。18年3月期も懸案だった半導体事業の回復で、黒字を確保する見込みだ。ただ、近年は携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」のような画期的なヒット製品から遠ざかっており、完全復活に向けて新しい製品や技術を生み出せるか正念場を迎えている。

 ソニーは09年3月期以降、2年以上の黒字とは縁がなかった。16年3月期に3年ぶりの黒字に転換するまで、人員削減やパソコン「VAIO(バイオ)」の売却、ウォークマンなど主要事業の分社化といった構造改革を重ねた。

 17年3月期は熊本地震で半導体工場が被災し、映画事業で1千億円超の減損を計上するなどマイナス要因が多かったが、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の販売好調などに支えられた。昨年発売した仮想現実(VR)を楽しめる端末「PSVR」も好評で、次世代パネルの有機ELを使った薄型テレビに再参入するなど攻勢を強めている。

 18年3月期は純利益を2550億円と予想する。中国のスマートフォンメーカー向けに半導体の販売が大きく伸びるとみており、本業のもうけを示す営業利益目標は20年ぶりの高水準となる5千億円とした。平井一夫社長は「持続的に高収益を上げる」と意気込む。

 一方、半導体の需要は浮き沈みが激しいため、人工知能(AI)やロボット技術を駆使した新事業の創出も急務となっているが、平井氏は5月23日の経営方針説明会で具体的な事業イメージへの言及は避けた。経営戦略に詳しい早大大学院の長内厚教授は「いまだ具体的な事例が示されていないことに市場関係者は物足りなさを感じている。できるだけ早期に分かりやすい方向性を示すべきだ」と指摘している。【共同】

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