「優美な縁飾り付の楕円皿」(右後方)で書道に近い感覚を覚えたという成冨宏さん=佐賀市の県立美術館

■彫刻家・佐賀大名誉教授 成冨宏さん(佐賀市)

軽やか、重厚感「まいった」

 ドガやゴーギャンの彫刻は絵画的な彫刻を作っているという印象だが、ピカソは丸モノの彫刻として堂々と作っており、「うまい」と思わせる。現代的な彫刻と並べても遜色ない。

 今回の展示で特に気になったのが、「優美な縁飾り付の楕円皿」。線やフォルムの力強さが書道に通じるものがある。当然、色は入っているが、絵画よりも書に近い感覚を覚える。

 絵柄は躍動的だ。登場人物、背景など一発で決めたような筆致である。斜めになっている皿の縁を闘牛場の観客席になぞらえたところなど、うまくやっていると感心する。

 絵画、陶芸の持ち味を使ってこの空間を作り上げている。感覚で処理できている能力が素晴らしい。闘牛場の興奮や華やかさが如実に表れ、とても良い効果を生み出している。

 ピカソは若い時代からスポンサーがあり、世界的に売り出されても、それに応えるだけの力があった。後年、変な絵を描く人のイメージがあるが、古典をしっかりと勉強した力は作品を見れば分かる。

 ピカソは私にとって50、60年前の先人でもあり、美術界のトップリーダーであり、勉強の要であった。遺した作品は、現代絵画のあらゆるジャンルを含んでいるように思える。ものすごいボリューム、質の高さ、広がりのある作品ばかりで、「まいった」と言うしかない。佐賀ではそうそう見る機会はない。一点一点が非常に軽やかで同時に重厚感を感じさせる。

 「ピカソ展」は佐賀県立美術館で7月17日まで(月曜休館)。当日券は一般1200円、高校生以下無料。

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