梅雨も明け、じりじりと日が肌を焦がすようで、夏本番だ。きょうは二十四節気の「大暑(たいしょ)」。次の節気の立秋までが、一年中で最も暑い時とされる。<兔(うさぎ)も片耳垂るる大暑かな>。芥川龍之介◆熱中症対策の飲み物として注目されているのが「甘酒」である。俳句の世界では夏の季語。江戸時代、夏バテ防止の定番飲料だったからだが、最近は「飲む点滴」と呼ばれブームに◆もち米の粥(かゆ)に麹(こうじ)をまぜ、発酵させて作る甘味飲料で、発酵に6~7時間かけると甘酒になるところから一夜酒ともよばれる。酒とは名ばかりで、アルコール分はない。熱いのを、ふうふう吹いて飲むのが消夏法といわれる◆古くは奈良時代の『日本書紀』に登場し、江戸初期の俳書『御傘(ごさん)』には「ひと夜酒 夏なり。あま酒とも読めば、あま酒も夏なり」とある。行商で売られ出したのは室町時代からとされ、江戸のあとの方では四季を通しての飲み物となった◆この現代、食品メーカー各社が夏向けの「冷やし甘酒」なるものを売り出し、活気づく。市場規模もここ5年で3倍以上に膨らんだ。整腸作用に威力を示すオリゴ糖や疲労回復に効くビタミンB群、必須アミノ酸などが含まれ、「体にいい」との期待からだろうか。ぐいっと飲んで、厳しい夏を乗り切るのもまた良し。<一夜酒隣の子迄(まで)来たりけり>一茶。(章)

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