27日、ニューヨークの国連本部で行われた「核兵器禁止条約」制定に向けた会議で演説する高見沢将林軍縮大使(共同)

 【ニューヨーク共同】核兵器を非合法化し、廃絶を目指す「核兵器禁止条約」制定に向け、ニューヨークの国連本部で27日(日本時間同日深夜)に始まった会議で演説した日本の高見沢将林軍縮大使は、核保有国が参加しないまま条約交渉を進めれば国際社会の分断が深まるとして「建設的かつ誠実に参加するのは困難」と述べ、交渉への不参加を表明した。

 岸田文雄外相も28日、首相官邸での記者会見で「交渉には参加しない」と表明した。唯一の被爆国として核廃絶を訴えてきた日本が、核兵器を禁じる史上初めての条約交渉に加わらないことに、被爆者らからは強い憤りの声が上がっている。

 高見沢氏は演説で、核開発を続ける北朝鮮などにより、国際社会は深刻な安全保障上の脅威に直面しているとして「現実的な視点」が不可欠と指摘。核軍縮は、保有国と非保有国の分断を避けながら段階的に進めるべきだとした。

 これに先立って演説し、条約制定を訴えた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の藤森俊希事務局次長(72)=長野県茅野市=は記者団に「唯一の戦争被爆国の政府が言うべきことではない」と強い不満を表明した。

 一方、条約推進派の国々は「核なき世界」へ向けた重要な一歩として交渉開始を歓迎。議長国コスタリカのゴンサレス外相は、国際法で「禁じられた兵器がその後途絶えることは、歴史が示している」と自信を示した。

 今回の交渉は31日まで。推進派は7月までに条約案の作成を目指す。非政府組織(NGO)の集計によると、27日の会合には日本を含む116の国・地域が出席した。

 米英仏中ロの核保有五大国のほか、インド、パキスタン、北朝鮮なども交渉に参加しなかった。米国の「核の傘」の下にある北大西洋条約機構(NATO)諸国の大半は条約に反対している。

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