江戸時代の庄屋の邸宅で国指定有形文化財の前田家住宅。県内の江戸から戦前にかけての文化財建築761棟のうち134棟が伊万里市内に存在し、文化財保存の観点からも利活用が望まれる=伊万里市立花町

市内の遊休施設や家屋のリノベーションとその活用法を提案する受講生=伊万里市民図書館

■文化財など3物件の利活用案提示

 空き店舗や空き家などの遊休不動産を改装し、新たな価値を吹き込む「リノベーションスクール@伊万里」(県主催)の公開プレゼンテーションが、伊万里市民図書館で開かれた。まちづくりなどで活躍する地元住民ら受講生が、国登録有形文化財の前田家住宅など3物件の利活用案を提示した。

 受講生約30人は14日から3グループに分かれて担当する物件を視察。各グループに付いた専門家のアドバイスのほか、所有者から聞き取った物件への思い入れなどを踏まえてアイデアを練り上げた。

 前田家住宅は江戸時代の大地主の邸宅。「伊万里の歴史文化の発信地に」という当主の意向も反映し、親子でかまど炊きのご飯やみそ造りを体験したり、将棋のタイトル戦の会場とするレンタルスペースとして活用を提案。アドバイザーを務めた専門家から「文化財の保全は所有者が責任を一身に背負うか、行政が丸抱えするかのいずれしかなかったが、まち全体の財産として捉えて守っていこうという決意を感じた」と称賛の声が上がった。

 商店街の旧重松酒店を担当したグループは、サイクリング愛好家が自転車とともに宿泊できるゲストハウスとレンタサイクルショップを併設して新たな観光拠点とする構想を発表。旧馬場書店のグループは、シェアハウスと複合して健康食の総菜販売など、特別な目的もなくても気軽に立ち寄られるような場所づくりの大切さを訴えた。

 北九州市などでリノベーション物件を生かしたまちづくりを仕掛け、今回のスクールを統括した嶋田洋平氏は「山積する地域課題を一つ一つではなく、空き家問題と定住促進といったようにまとめて解決する考え方が大事」と強調。行政や民間、遊休不動産の所有者それぞれの意識の変革も求めた。今回の提案は所有者と協議し、了解が得られれば実現に向けて動き出す。

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