国営諫早湾干拓事業の開門差し止め訴訟に関し、長崎地裁(松葉佐隆之裁判長)は27日、開門しない前提で国が示している総額100億円の基金案に、国が漁業者側に支払っている制裁金などを組み入れる形での和解を改めて勧告した。次回協議の2月24日までに諾否の回答を求めた。開門派の漁業者側は「到底応じられない」として議論を拒否する姿勢を明確にし、開門を含めた別の案を協議するよう求めると表明、国と開門阻止派の営農者側は勧告を評価した。

 長崎地裁は昨年1月、開門しないことを前提に、国が漁業環境を改善し、解決金を支払う内容で和解を勧告。これを受け国は基金案を提示していた。

 今回の勧告では国が示した基金案について、開門しない前提の和解に向けた特別な措置として提案されていることから、漁業者側が求める開門とは「両立するものではない」と指摘、今回拒否された場合は「再度同じ枠組みでの協議は困難」と言及した。

 基金案の運営主体となる沿岸4県と各漁協・漁連のうち、佐賀県と県有明海漁協は受け入れを拒否している。ただ、漁協は回答で「訴訟当事者間の決定は尊重されるべき」と付記しており、勧告では「基金の運営を完全に拒否する趣旨ではなく、基金案が実現不可能とはいえない」とした。

 その上で、基金案を一部修正し、国から漁業者側に対し既に7億円以上支払われている間接強制の制裁金と、国が拠出する和解金を基金案に組み入れた。組み入れ分は、佐賀、長崎両県の漁業団体が諫早湾とその周辺部の漁業環境改善に活用するとしている。

 開門を含めた議論を提案している開門派の馬奈木昭雄弁護団長は会見で「有明海再生にふさわしい案ではなく、勧告を受け入れることはない」と強調した。

 一方、開門阻止派の山下俊夫弁護団長は「最も望ましい形として求めていた内容であり高く評価できる」と歓迎、農水省は「問題の解決に向けて対応を真摯(しんし)に検討したい」とコメントした。

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