4月中旬、東京都内で開かれた福井県産の新しいコメ「いちほまれ」の名称発表会

■家庭用に集中、需要とずれ

 味や名称にこだわったコメの新銘柄が各地で続々と誕生している。国による生産調整(減反)の2018年廃止を見据え、消費量と米価が低迷する中でも高価格帯で販売し、農家の収入を確保する戦略だ。ただ、新たな「ご当地米」は家庭用に集中。外食向けなどの業務用米の需要が堅調な現状とのずれを指摘する声もあり、激戦は必至だ。

 金色(こんじき)の風(岩手)、だて正夢(宮城)、富富富(ふふふ)(富山)、ひゃくまん穀(ごく)(石川)…。各県主導で開発し17~18年産から本格販売する新銘柄は、おいしさを個性的な名前に託した。甘みの強い「いちほまれ」を生んだ福井県は「(最高級の)魚沼産コシヒカリより上を目指す」(西川一誠知事)と自信満々。今秋はまだ試験販売ながら、県と地元JAグループはPRに計2億8千万円を投じる予定だ。

 主食用のコメ需要は右肩下がりだが、農林水産省によると、国立研究機関による改良品種や、既存品種の産地追加などを含む17年産米の新銘柄は過去最多の41件に上る。

 背景には、全国銘柄コシヒカリの価格下落がある。生産者を限るなどの付加価値でヒットした北海道産「ゆめぴりか」や山形産「つや姫」の相対取引価格は最近、新潟産コシヒカリに比べ60キロ当たり千~2千円ほど高い。減反廃止後の値崩れを心配する各県はブランド化で続こうとしている。

 他方、主食用米でもコンビニの弁当といった「中食」や外食チェーンが使う安いコメは供給力が伴わず値上がり傾向。近年は豊田通商が収量の多い「しきゆたか」の産地を広げるなど、企業は業務用市場に目を向ける。

 高崎経済大の吉田俊幸名誉教授は「ブランド米の『戦国時代』に全員の勝利はあり得ない」と断言し「消費者は必ずしも高価格帯のコメを求めているわけではなく、需給に応じた真のニーズを分析する必要がある」と話している。【共同】

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