■早めの社会復帰へ「人工関節」手術も

 足取りも軽やかに動き出したい春。そのためには、骨と骨をつなぐ関節の健康が求められます。なかでも「股関節」は、立つ・座る・歩くといった人の基本的な動作を支える大切な器官です。しかし、加齢などが原因で、股関節の変形や痛みを訴える人が女性を中心に増えています。今回は代表的な股関節の病気「変形性股関節症」について、今村病院の整形外科専門医、熊谷優先生にお話を聞きました。

生活に支障をきたす

 「最近、足の付け根が痛い」「ゴツゴツ音がする」などの違和感があるとしたら、股関節の病気かもしれません。なかでも一番多いのが「変形性股関節症」です。

 そもそも股関節は、骨盤と大腿骨(太ももの骨)をつなぐ器官。上体や足を前後左右に動かし、立ち座りや歩く動作を可能にする大切な役割を担っています。

 しかし加齢などが原因で股関節の軟骨がすり減り、堅い骨同士が直接当たるようになると、痛みや骨の変形を引き起こします。また、足の可動域が狭まり、日常生活に支障をきたしかねません。

 変形性股関節症の初期であれば、立ち上がりや歩き始めに痛みを感じる程度ですが、進行すれば料理などの立ち仕事や、階段の上り下りも苦痛になります。足の爪切りや靴下の脱ぎ履きもしづらくなるでしょう。さらに悪化すると、就寝中も痛み、寝返りすら打てず、眠れなくなるかもしれません。

 また、痛みが続くと外出が減り、服装が地味になるなど気力も失くし、生活の質(QOL)の低下も考えられます。

加齢で発症しやすく

 こうした股関節の病気は、加齢とともに発症しやすくなり、50~60代を過ぎたら注意が必要でしょう。また、日本の場合、変形性股関節症の患者の8割が女性と言われ、子どもの時の病気や生育環境による股関節の形成不全が原因になるようです。

 痛みが慢性的に続き、普通の筋肉痛とは明らかに違う場合は、早めに整形外科の専門医に相談するのが肝要です。診断はレントゲン検査で可能。股関節の状態や症状の進行具合がその場で分かります。

生活習慣を見直そう

 変形性股関節症の治療は、「保存療法」から始まります。

 まずは股関節に負担をかけない洋式の生活環境を整えること。例えばトイレは和式よりも洋式の方が、立ち上がり・しゃがみ込みの負荷が少なくて済みます。同様に、低い座卓よりもイスに座るダイニングテーブル、布団よりもベッドを使うことがおすすめです。

 また、生活習慣の改善も欠かせません。股関節に痛みがあると、外出や運動がおっくうになり、筋肉が衰え、肥満になりがち。肥満による加重が、さらに股関節の負担になります。食生活の見直しや、負荷の少ない運動を取り入れるなど工夫をしましょう。

 なかなか痛みがとれない場合は、痛み止めの薬を処方します。

手術は1時間程度

 症状がさらに進行し、保存療法も効果が出ない場合は、手術を行います。当院では、股関節の損傷した部分を切除して、金属の「人工関節」に置き換える手術を行っています。これは整形外科の代表的な治療法として確立されていて、早く社会復帰できるのがメリットです。

 手術も1時間程度で終了。手術翌日くらいから、当院の理学療法士が補助しながら、歩行訓練を行います。早い人であれば、1~2週間程度で退院が可能です。

 しかも医療保険が適用され、高額療養費制度などの利用も可能です。まずは専門の医療機関に気軽に相談しましょう。

ドクター紹介

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医療法人社団 如水会

今村病院 整形外科主任部長/副院長

熊谷 優

くまがい まさる 久留米大学医学部卒業後、社保田川病院、済生会福岡総合病院、米国Johns Hopkins大学、久留米大学講師などを経て、平成26年より今村病院に勤務。整形外科専門医。日本関節病学会、日本人工関節学会、日本リハビリテーション医学会に所属。

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小島 隆治 (こじま りゅうじ)

■整形外科部長

[出身大学] 自治医科大学医学部

[資格] 日本整形外科学会専門医・指導医

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小島 安弘 (こじま やすひろ)

■四肢外傷再建センター長

■整形外科医長

[出身大学] 自治医科大学医学部

[資格] 日本整形外科学会 専門医・指導医

厚生労働省認定臨床研修指導医

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田中 希 (たなか のぞみ)

■整形外科医

■四肢外傷再建センター

[出身大学] 熊本大学医学部

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