■健康食品やサプリメントにかわる漢方薬

 誰でも「健康で長生きしたい」「若々しく元気でありたい」と望んでいます。「漢方」を試してみませんか? 現代医学では特効薬がない症状も、改善に導くことができると期待されています。今ではがんや認知症、更年期のケアにも活用されているそうです。遠方の患者も相談に訪れるという「漢方の専門医」馬島英明先生に、お話を聞きました。

“未病を治す”考え方

 「健康によい」「健康の保持増進」という目的で、健康食品やサプリメントを飲んでいる人が多いようですが、これ等はあくまでも食品であり、「薬」の代わりにはなりません。また、天然成分由来の健康食品でもアレルギー症状の原因となったり、医薬品との相性の悪いものもあり、注意が必要です。

 そこで、健康で長生き、若々しく元気等に効果のある漢方について紹介したいと思います。

 一般には、「滋養強壮」には補中益気湯、十全大補湯、人参湯など。「若々しく元気に」には、八味地黄丸、六味丸、小健中湯などがあります。これらは、体質が合えば、長く飲み続けることができます。

 個々に合わせたオーダーメードの処方をする時に使うのが「一貫堂(いっかんどう)医学」です。未病を治療します。未病とは、一般的に「自覚症状のない病的状態」「自覚症状はあるが、検査で異常のない状態」などと言われています。この“未病を治す”という考え方が、漢方の世界の「体質改善」です。

 一貫堂では、体質を3つに分けて治療します(図参照)。各体質の基本処方を組み合わせて、体内の毒素を排泄し、自然治癒力を回復させて改善に導くのです。

 そのためには毎月1~2回の通院と服薬・食事療法を続け、3カ月に1回程度、効果を判定し、処方の見直しを行います。時間と根気を要しますが、「喘息(ぜんそく)やアトピー、リウマチが軽くなった」「便通が改善した」「肌がきれいになった」「体調がよくなった」などの声もあるようです。医療用エキス剤や生薬は、多くは保険が使えます。

 コンビニやスマホの普及で、私たちの生活習慣は様変わりしました。こうした時代だからこそ、“未病を治す”という漢方の考え方が見直されつつあるのです。

急性症状に素早い効果も

 「漢方」は、一人ひとりの体質・症状に合わせて漢方薬を処方することで、現代医学では対処しえない症状までケア。その有効性が再評価されているのです。

症状に応じて薬を組み合わせ

 たとえば、ウイルス性腸炎には、子どものおう吐下痢症によく用いる「五苓散(ごれいさん)」が、あまり熱がない時に有効です。熱を伴う下痢には「黄闃ゥ湯(おうごんとう)」、冷え切っている下痢は「真武湯(しんぶとう)」などを。さらに、発熱を伴えば「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」、吐き気が強ければ「小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)」、腹痛が強い時は「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」。

 このように、ひと口でウイルス性腸炎と言っても、症状や薬は一人ひとり違います。もちろん、「便秘」も同様です。

 「腸の動きが悪く、便が硬い」「腸の動きはあるが、出にくい」「腸の動きがアンバランスで、へそ中心に冷えがある」「高齢者でコロコロ便が出て、腹痛がない」「腹痛・腹満を伴う」「ストレス性」…など、便秘の原因も症状もさまざま。それぞれに対応する漢方薬があるので、それらを組み合わせる“合わせ技”で立ち向かいましょう。

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「漢方専門医」に相談を

 「漢方専門医」は一人ひとりの体質や症状、季節まで見極めた上で漢方薬を処方します。近年はドラッグストアなどで手軽に購入できますが、服用を間違えると副作用があるので、必ず知識と経験が豊富な専門医に相談しましょう。

 当院では患者さんと直接お会いした上で治療方針を決めるので、電話での相談は受け付けません。服薬歴や病歴が分かる「おくすり手帳」などをご持参ください。

ドクター紹介

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馬島医院 院長

馬島 英明

ましま ひであき 東京医科大学卒業。1982年、佐賀医科大学外科学、消化器一般外科入局。87年、佐賀医科大学外科学助手。91年、医学博士取得。同大学消化器一般外科医局長を経て、94年1月に馬島医院を開業。日本外科学会認定医。2006年12月、社団法人日本東洋医学会漢方専門医試験に合格。西洋医学と東洋医学を取り入れた医療を実施し、毎年学会で発表。平成28年度も3回の発表を行った。

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