シニアを対象に開かれたスマホ講座

 インターネット関連のトラブルがシニア層に広がっている。スマートフォンユーザーが、高齢者にも増えているのが遠因だが、操作に不慣れだったり、ネットの知識に乏しかったりするため、若年層に比べトラブルの増え方が著しい。相談先の周知や使い方講座の拡大など防止策の整備に早急に着手すべきだ。5月は消費者月間。

 全国の消費生活センターなどに寄せられたネット系トラブルの相談件数で、2016年までの過去5年で50~60代が約5倍、70歳以上が約7倍に急増した。分析結果は6月にまとめる17年版消費者白書に盛り込まれる予定だ。

 具体的な案件は、会員制交流サイト(SNS)などを通じ、出会い系サイトに誤って登録してしまったケースや、コンテンツ代未納とする督促メールに応じてしまった事例などが目立つ。

 佐賀県内でもネット系の不当・架空請求に関する相談は、各年代を通じてトップ。アダルトサイトで「会員登録完了」と表示され、示された番号に電話してしまったという内容から、自力で解決法を探ろうとネットで検索し、公共機関に似た紛らわしい名称のサイトに行ってしまい、2次被害に遭うケースなどまでさまざまだ。

 急増している背景の一つは、60代以上のシニア層にも積極的にネットを利用する人たちが増えていることが挙げられる。民間のモバイル研究機関が昨年6月、全国の60~79歳の約4400人に行った調査で、スマホの所有率は38・5%と前年より10・7ポイント増えた。また、従来型携帯電話ユーザーの20・5%が今後、スマホへ買い替える意向があると答えており、高齢者のネット接続率がいっそう高まるのは容易に想像がつく。

 こうした予測が立つ中で、ネットを安心安全に利用するための高齢者向け普及啓発活動は活発に行われているだろうか。

 先に挙げた心当たりのない請求や、サイト閲覧中にいきなり登録完了の文字が出てきても「無視」すればいい。表示の電話番号に連絡するといったリアクションをするから、住所や氏名などの個人情報を奪われるのだが、免疫のないネット初心者は動揺し、誰にも相談できないまま不当請求に応じてしまっている。

 「自己責任」などと被害者を責めても問題は何も解決しない。まずはネットトラブルの回避や対処法を学べる講座などを行政や関係機関、通信業者らが各地で今まで以上に開くことを検討し、実行に移してほしい。報道機関も啓発のための情報発信をよりいっそう進めたい。

 県内で昨年発生したニセ電話詐欺でも被害者の半数は65歳以上だった。実直に生きてきて、人生の晩年につらい思いをする社会であってはならない。(森本貴彦)

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