6月に閉鎖することになり、60年の歴史に幕を下ろす寿通り商店街。現在は5店が営業している=佐賀市松原

1965年ごろの寿通り商店街

 佐賀市松原4丁目の「寿通り商店街」が、6月で閉鎖する。かつては20以上の商店でにぎわったが、バブル経済崩壊や郊外型大型店の出店で客が減り、現在は5店だけが営業、高齢化した所有者らが売却を望んだ。元店主も加盟する片田江商店協同組合(21店、商店協)も解散する。昭和のにぎわいと平成の斜陽を味わった商店街は、約60年の歴史に幕を下ろす。

 T字型の商店街で、片田江交差点そばにある。商店協や記録資料によると、終戦翌年の1946年ごろ、朝鮮から引き揚げた人たちが借地に開いた闇市がルーツ。バラック建ての62店がひしめき、「朝鮮マーケット」とも呼ばれたという。

 商店や店主が変遷しながら、55年に24店で商店協を設立した。借地を買い、敷地面積約1500平方メートルの小さな商店街が誕生した。

 80年代のバブル期までは多くの買い物客でにぎわい、鮮魚店や精肉店、八百屋、食堂、衣料店などが軒を連ねた。バブル崩壊後の景気低迷に加え、郊外に大型店ができて客足が遠のき、シャッターの閉まった店が目立つようになった。

 閉店後も建物維持で経費が発生するため、元店主や相続者らから商店の売却を望む声が上がっていたという。昨年、組合で話し合いを続けた。解散が決まり、うどんや親子丼が人気だった「万両食堂」は昨年末に閉店した。商店協によると、現在は喫茶、婦人服、菓子、手芸、薬局の5店が営業している。

 商店街で60年近く続く婦人服店「ルイ」を営業する小池裕江さん(83)は、神戸市から佐賀市に引っ越して結婚。親戚から店を買い、夫婦で婦人服のオーダーメード店を開いた。従業員10人を抱え、2号店を出した時期もある。

 「30年、40年の付き合いがある常連さんもいて本当にありがたい」と小池さん。「大型店が増えた時代の流れもあり、昔のようなにぎわいを取り戻すのは難しい。別の場所で続けてほしいとも言われるが、自分の年齢も考えないといけない」。6月までに店を畳む。

 40年以上営む喫茶店「ボガ」の武下千津子さん(66)は、先代から継いで約10年前から店長を務める。まだ退去日は決めていない。「毎日のように来てくれるお客さんがいる。最後まで明るく営業します」と笑う。

 商店街は、6月中に敷地を不動産会社に明け渡す。商店協の松尾ミエ子さん(75)は「店主の高齢化や相続する子ども世代の負担になるという意見があり、この商店街をどうするか長い間話し合ってきた。これまで支えてもらった地域の人たちに感謝したい」と話す。

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