「浪江町には戻れない」と話す志賀龍馬さん=佐賀市

 福島第1原発事故で被災した福島県浪江町権現堂にある自宅を離れ、娘の家族が暮らす佐賀市に身を寄せて6年目を迎えた。昨年2月には佐賀に自宅を新築し、1人で暮らしている。

 「浪江町には戻れない。帰ったとしても、町の様子は前と同じにはならない。一緒に面白おかしく過ごしていた飲み仲間も、避難先で新たな生活を始めていて、みんな離ればなれ。あのころと同じ生活は送れないんだよ」

 避難指示解除準備区域だった権現堂への避難指示は31日に解除される。自宅への帰還は可能になる。

 「復興が進んでも、5年後には80歳になる。出来事を素直に受け止め、前向きに行動していく性分でね。浪江の家の様子を見にいくことは考えていない」

 浪江町の自宅と、開業医として35年以上にわたって診療を続けてきた自身の病院は、今年の5月に取り壊して更地になる。

 「かかりつけの患者さんのことが気になるときもある。でも今は、佐賀に骨をうずめるつもりでいる。医療関係の仕事を見つけて、働きながら平凡に暮らしている。テレビで浪江町が取り上げられるときは『おっ』と思うけれど、浪江町での暮らしは遠い過去のように感じる。ふるさとを思い続けるには、6年は長すぎた」

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