福岡資麿氏の当選確実の一報が入り、喜びに沸く自民党県連幹部や国会議員、公明県本部代表ら。自主投票とした農政協幹部の姿は見られなかった=10日午後8時、佐賀市多布施の事務所

■自民、農政協と「和解」課題/公明、改憲論議で制御役も

 10日夜、「全国最速の当確」に沸く自民・福岡資麿氏の事務所。「佐賀県の自民党として、農業は最優先事項。当然、農政協との関係を丁寧に構築したい」。自民党県連の土井敏行幹事長は、事務所を包む熱気とは対照的に冷静に語った。

■慢心への懸念

 自民最大の支持基盤だった県農政協議会は今回、「TPP(環太平洋連携協定)大筋合意など自民の農政を考えれば推薦できない」として自主投票を決めた。そして公示2日前のタイミングで、TPP発効による県内農産物への影響額の独自試算を公表した。

 「楽には勝たせないというメッセージだったのだろう。『丁寧にやっていかなければならない』と引き締まった側面はある」と中堅県議。皮肉にも圧勝劇を生んだ要素の一つとなったとみる向きもある。一方で「農政協に頼らなくても勝てる」という慢心が生まれないか懸念する声もある。

 「参院選では勝てても、衆院選となると農政協の支援なしには勝てない」。中堅県議は強調する。民進の原口一博、大串博志の両衆院議員は知名度、組織力で自民に引けを取らない。今回の参院選でも、大串議員はTPP反対を訴える民進の候補とともに農協の支所を巡り農業票切り崩しへ攻勢を強めた。次なる戦いを見据えた動きにも映る。

 減反政策転換、農協改革、TPP交渉への対応を契機に生じた自民と農政協との亀裂は、昨年1月の知事選の候補擁立を巡る対立で決定的となり、現在に至る。「確かにしこりは残っている」。農協幹部が言及するように関係修復が前進しているとは言い難い。

■メンツよりも

 「福岡先生が農協会館に足を運ぶことが関係修復への一歩になる。いくら選挙中に農業重視の姿勢を示しても伝わらない」。ベテラン県議は、福岡氏にメンツよりも県選出の党国会議員として県の基幹産業を代表する団体との「和解」を優先する姿勢を求める。

 「(再選して)自分が良ければいいではない。責任感が問われる」とベテラン県議。3年前のねじれ解消から議席を伸ばし、政権基盤を強固にした与党に問い掛ける言葉のようにも響く。

 一方、自民と連立を組む公明も改選前から5議席伸ばした。勢力が大きくなるほどにブレーキも向上させなければ暴走を止められない。「これまで以上にチェック機能が求められる」。県本部の中本正一代表は民意の重みを痛感する。

 安倍首相は国会での改憲論議の開始に言及した。「変えることが目的ではない。何を変えるべきか、何を守るべきかを議論するのが本筋」と中本代表。政権党として制御役を担う責任感を強調した。

   ◆   ◆

 自民、公明の与党が大勝し、改憲勢力が3分の2を超えた参院選。大きな転換点を迎えたが、佐賀選挙区も含め論戦に熱気が感じられないまま終わった。選択の先に各党が抱える課題を探った。

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