■「ようやく入り口、感慨」「議論なき手続き、不安」

 参院選の末、憲法改正に賛同する勢力が戦後初めて衆参両院で3分の2を占める状況になった。佐賀県内の保守系団体は「早期に国会発議するよう機運を盛り上げたい」と勢いづき、護憲派は訴えが広がらなかった結果に焦りを募らせる。有権者側の関心はまちまちで、不安視する声も絶えない中、改憲論議が動き出そうとしている。

 投開票日から一夜明けた11日、改憲運動を進める「日本会議佐賀」事務局の弥吉博幸さん(54)は「論議することさえタブー視されていた時代を考えれば、ようやく入り口に立てたと感慨深い」と話した。早期改正を求める署名活動をさらに強化していくという。

 野党統一候補を支援した「市民連合さが」共同代表の畑山敏夫佐賀大教授(63)は「もともと憲法は選挙の争点になりにくく、野党がいくら論戦を挑んでも、相手から肩透かしされたらどうしようもない」。政権与党が改憲を正面から掲げなかったことを批判した。

 安倍晋三首相は過去の国政選挙で、争点化してない特定秘密保護法や安全保障関連法を選挙後に成立させてきた。佐賀空港への自衛隊オスプレイ配備計画に反対する佐賀市の塩山正孝さん(69)は「安保法のときのように、憲法もオスプレイも十分な議論がないまま手続きが進むのではないか」と不安視。伊万里・有田九条の会の吉永節子さん(69)は「原発の再稼働もそうだが、一番知りたいことほど選挙になると語られなくなる」と残念がった。

 改憲論議に関し、首相は秋の臨時国会で各党協議を加速させる意向だ。たたき台になる自民党の改憲草案について、神埼市の介護士の女性(42)は「『家族は互いに助け合わねばならない』という条項があるけど、社会保障費を抑えるために家族の自助を求めているように思える」と、議論の行方に気をもむ。佐賀経済同友会の村岡安廣代表幹事(68)は「経済再生こそ最優先すべきで、憲法改正に傾注する余裕などないのではないか」と指摘した。

 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、新たに有権者になった佐賀市の大学1年宮崎幸大さん(19)は改憲派を選んで1票を投じた。「憲法ができて70年がたち、今の時代に合っていない印象が強い。平和主義とか基本的なところは守りつつ、現状に合わせて柔軟に変えていくべきだ」

 佐賀大で憲法を教える井上亜紀准教授(49)は「今の若者に憲法を絶対変えてはならないという発想は乏しく、改憲への抵抗がないことも選挙が盛り上がらなかった一因なのでは」と分析する。国民的論議にするためには「改憲で何を変えようとしているのか、何が変わることを阻止したいのか、政治家は私たちの生活への影響を具体的なイメージにして示すことが必要になる」と話す。

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=2016さが参院選=

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