ゴルフの大敵はアゲインスト(向かい風)。プロでも苦手な選手は多い。海に囲まれた沖縄は年中、強い風が吹く。沖縄のは塩気を含んだ重い風。ゴルフへの影響ははるかに大きい◆幼い頃から、18ホールすべてで海が望める沖縄のゴルフクラブで育った宮里藍選手(31)は「風は友達。嫌だと思ったことは1回もない」と言ってのける。自然と風の計算ができるようになり、試合ではプラスの条件にしてしまう。日本女子ゴルフ界をけん引してきた秘訣(ひけつ)の一端は、そんなところにある(松井宏員(ひろかず)著『宮里藍 ドリーム・ショット』)◆愛らしい笑顔と、はつらつプレーで人気を集めてきた彼女の引退の報に誰もが驚いた。会見で「モチベーション(意欲)の維持が難しくなった」と理由を吐露。上り詰めた人だからこそのプロの言葉である◆これまで決して順風ばかりではなかった。身長155センチの小柄な体をカバーするスイングを考えあぐね、悪戦苦闘の競技生活だった。そんな思いが脳裏に去来したのか、会見では声を詰まらせた。だが「感謝」の言葉とともに、引き際の爽やかさが心に残る◆突風、横風…。これからの人生にも、いろんな風が吹こう。でも常に風を仲間としてきた彼女のこと。きっと乗り切り、藍ちゃんスマイルで明るくしてくれるだろう。再出発にエールを送りたい。(章)

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