南北朝時代を終わらせた室町幕府3代将軍、足利義満は日本史上に名高い怪物である。わがままで尊大、子どもっぽく、快楽にふける大酒飲みだったそうだ◆38歳で出家し、山荘「北山殿」(後の金閣寺)を建てた。息子に譲位した後も裏から政(まつりごと)を動かしたから、そこが室町時代の政治の中心であり、壮麗さは大変なものだった。当時の京の住職は日記に、楼閣は夜空の星のように四方に点在し、その華美は空から降り、地から湧き出たようだったという意味のことを書いている◆その金閣寺で、義満が建立した「北山大塔(だいとう)」のものとみられる金属製の飾りの破片が見つかったという。大塔は七重の造りで、100メートル級の高さだったと考えられるが、史料がほとんどなく、貴重な発見である◆文献によると、落雷で炎上したらしい。残っていれば大阪の通天閣(103メートル)と肩を並べる高さだから、当時の技術の高さが分かる。義満の権力の強さを物語るものでもあり、これからの解明が楽しみだ◆義満は、この国の最高の権威「天皇」に、自ら代わろうとした初めての権力者とされる。晩年の義満へは中国・明の皇帝から「日本国王」の号が贈られた。夢破れ天皇になることはなく果てたが、それほどの傑物だからこそ、大塔の規模も桁外れだったのだろう。600年の時を超え、思いをはせる。(章)

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