仮設住宅に移ってからは中高年男性の孤独死が増えると話す田村さん=鳥栖市の市民会館

 鳥栖市男女共同参画フォーラムがこのほど、市民文化会館であった。阪神大震災以降、被災地復興に携わる田村太郎・ダイバーシティ研究所代表理事が「災害に強いまちづくり」と題して講演した。阪神大震災と東日本大震災を比べると、地域住民の高齢化が進んだことで災害時対応力が弱まり自治体の力も縮減しているとし、災害想定や人口動態に応じたきめ細やかな避難計画に作り直し、訓練を繰り返すよう提言した。講演要旨を紹介する。

■「災害に強いまちづくり」ダイバーシティ研究所田村代表理事

 阪神大震災が起きた1995年と2010年で日本の人口構成を比べると、わずか15年で激変している。18歳人口は3割も減少し、75歳以上の人口は倍増した。若者が大きく減った上に、仕送りが減ったため生活費を稼ぎながら大学に通っていて、災害が起きても被災地にボランティアに行く余裕はなくなってしまった。東日本大震災では人手が足りないために、避難所にボランティア募集の張り紙がしてあった。被災直後に助けに駆けつけてくれる人の余裕は、もうこの国にはないと認識しておくべきだ。

 救援物資は全国から善意で送られてくるが、仕分けする人手もないから山積みされたまま放置され、うち7割は焼却処分されているのが実態だ。決して口には出さないが、被災地の本音は「もう送らないでほしい」である。

 避難所では元気な男性以外はみんな居心地が悪い。仮設住宅に移ると男性が危なくなる。仮設での死因別・年代別の孤独死を阪神大震災直後の3年間でみると、男性は50歳代の肝疾患が最多だった。男性は失業して引きこもりがちになり安否確認も拒否して酒に依存するようになっていく。

 一方で、女性は集会所に集まりおしゃべりを楽しんだりして比較的元気だ。元々、仮設住宅では高齢者・女性向けのプログラムが多い。男性が参加できるような仕掛けを作る必要がある。

 高齢化や人口減少などで自助力が大きくダウンする中で、一人一人に配慮した災害時対応をするにはどうすべきか。自治体が作っている避難所の想定イメージは20~30年前の社会の姿が前提になっていて現状とずれているケースが多い。避難所は地区の公民館単位などできるだけ小規模に区分して、エリア内の要援護者を支えるための個別の避難・支援計画をつくる。被災後1週間を乗り切ることを前提に、障害や持病を持つ人たちなどの多様なニーズも含めて、「ニーズの総量」を算出しておく。その上で、宿泊型の避難所訓練をしてほしい。

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