Q.勤務先の倒産で失業し、奨学金の返還ができなくなったら、訴訟を起こすなどと言われて困っています。

 A.返還をしていた奨学金が日本学生支援機構(以下「機構」)であれば、機構が用意している救済制度の利用が可能かを、まず検討することになります。

 機構には「返還免除」という手続きもありますが、これは本人の死亡や障害、教育または研究職に就いた場合に限定されていますので、失業や収入の減少の場合には利用できません。他方で「返還期限猶予」の制度は、失業、災害、傷病、経済的困難などを理由に、返還を一定期間猶予してもらえる制度ですので、その申請をご検討いただければと思います。

 なお、機構の救済制度の利用においては「返還の延滞があると利用できない」と言われ、「延滞の不存在」も実質的要件となるようです。

 ただし、返還期限猶予の申請は、猶予の要件に該当する事情が発生した時にさかのぼって行うことができますので、今回のケースでは失業時にさかのぼって申請することができます。失業する前から延滞していた場合についても、失業以前に経済的に困難と認められる事情(給与所得者であれば原則年収300万円以下)などがあれば、さらにさかのぼって申請することができます。

 他方、現在の返還額の半分程度を返還できる場合は、返還額の減額を求める「減額返還」などもご検討ください。

 なお、経済的困難を原因とする返還猶予は、通算で10年しか認められないなどの細かい制約もあります。機構に関しては、その電算管理システムの信用性を否定する裁判例も出てきており、利用者に関する登録内容が正確でない場合もあり得ます。

 コールセンターでの制度の説明や、過去の返還実績の説明に疑問がある場合は、弁護士などの専門家への相談もご検討ください。機構以外の奨学金であれば、その実施主体の規定などをまず確認していただければと思います。

(弁護士 辻 泰弘・佐賀市)

佐賀県弁護士会・電話無料法律相談 電話0952(24)3411

毎週火曜17時半~19時半、土曜13~15時半

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