桜の開花の便りが届いた。春らんまんの季節である。きのう佐賀市の多布施川沿いを歩くと、雨の中に薄い紅をさした白い花びらがぽつぽつと開いていた。1分から3分咲きぐらいだろうか。今年はやけに遅く、待ち遠しかった◆本来、「ハナ」という語は実りの先触れ、前兆といった意味を持つ。「サクラ」は、サが田の神・穀霊のことで、クラは神霊の降ってくる定まった場所、神座(しんざ)のことだったから、田の神の依代(よりしろ)と考えられての呼称とみられる。その花は田の神の意思の現れであると信じられていたに違いない。水の確保など田仕事にとりかかろうとする時期に、パッと咲く見事な花に名づけられた(桜井満著『花の民俗学』)◆開花は農作業の合図でもある。桜花は稲の花の象徴と見立てられた。農耕生活の上に深く関与し、秋の実りを願った大切な花として日本人には特別となったようだ◆桜が咲き誇る春は心も浮き立つ。きょうからは新年度で入学、入社の時節でもある。新たな環境でスタートを切り、希望に胸ふくらませる半面、人間関係や新生活にストレスや不安を覚える人も多かろう。最初から、あまり頑張りすぎは息切れのもとである◆気楽に話せる友を1人つくることから始めてはどうだろう。短い季節の春だからと急がなくても、いいのですよ。ゆっくり一歩一歩で。(章)

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